赤旗(日刊紙)を読まない党員が4割を超える現実をどうみるか(追伸3)、入党を上回る離党が発生している事態は深刻にしてかつ重大だ。「底の抜けた樽」に水を注ぐような党勢拡大運動はもはや限界に来ている

前回に引き続き、拙ブログの「追伸」に寄せられたもう一つのコメントにも触れたい。趣旨は、無理な党勢拡大運動が却って離党者を増やしているのではないか――というものだ。このコメントについては、すでに拙ブログ(1月16日)で詳細に論じているが、改めて考…

赤旗(日刊紙)を読まない党員が4割を超える現実をどうみるか(追伸2)、志位1強体制の下での「官許哲学」の押し付けは、党の思想・理論水準の劣化しかもたらさない

前回の拙ブログの「追伸」に対して幾つかのコメントが寄せられた。その中の一つに、「党組織の問題点を指摘する批判を排除する官僚的執行部はますます孤立し衰退していく。その原因は党中央の思想水準の低下にある」との指摘がある。そう言えば、不破体制の…

赤旗(日刊紙)を読まない党員が4割を超える現実をどうみるか(追伸)

前回の拙ブログから3日後、「幹部会決定にたちかえり、3月こそ『三つの課題』をやりきる月に」との呼びかけが、大会・幹部会決定推進本部から改めて出された(赤旗3月2日)。趣旨は、2月には「掲げる目標ではなく、やりきる目標」として党勢拡大を訴えたもの…

赤旗(日刊紙)を読まない党員が4割を超える現実をどうみるか、長文の政治方針の学習が忌避され、配達体制が崩れてきている、共産党はいま存亡の岐路に立っている(その19)、岸田内閣と野党共闘(84)

2月6日の全国都道府県委員長会議以来、赤旗の紙面は「党大会決定の徹底、党勢拡大、世代的継承の3課題をやりぬこう」との檄文で埋め尽くされている。具体的には、志位議長が「中間発言」で解明した新しい理論的・政治的突破点を〝導きの糸〟にして、2月中に…

表紙は変わっても中身が変わらない〝志位体制〟の抜き差しならない矛盾、「政治路線も組織路線も間違っていない」の言明にもかかわらず、「長期にわたる党勢後退」を克服できないのはなぜか、共産党はいま存亡の岐路に立っている(その18)、岸田内閣と野党共闘(83)

歴史的な京都市長選が終わった翌々日(2月6日)、日本共産党の全国都道府県委員長会議が開かれた。その模様は、赤旗(2月7~9日)で詳しく報道されている。驚いたのは、田村委員長の「問題提起」が前座として取り扱われ、志位議長の「中間発言」が本番に位置…

「支援」と「推薦」はどう違うか、市民派首長選挙における政党の立ち位置に共産は失敗した、2024年京都市長選から感じたこと(2)

前回に引き続き、もう少し有権者の投票行動に関する分析を見よう。朝日新聞の出口調査は、「門川市政の評価」および「候補者を応援する政党や議員、団体」との関係から誰に投票したかを尋ねている(朝日新聞2月6日)。総じて、門川市政に肯定的な人は松井氏…

「裏金政党」自民と手を組む立憲民主(京都)に明日はない、2024年京都市長選から感じたこと(1)

事前に「横一線」と伝えられていた2024年京都市長選は、松井孝治候補(自民・立憲民主・公明・国民民主推薦)が福山和夫候補(市民派・共産支援)に1万6千票の僅差で競り勝った。自民党派閥の裏金疑惑が渦巻く中での市長選だったが、長年続いてきた「非共産…

〝政治とカネ〟問題が2024年京都市長選挙を直撃している、京都の「オール与党体制」が崩壊する可能性が出てきた、京都政界にみる政治構図の変化(1)

2月4日投開票の2024年京都市長選挙は、当初、維新の会と前原新党が仕掛けた「3極選挙」になるはずだった。両党が結託して地域政党・京都党の村山候補を担ぎ出し、長年続いてきた「非共産対共産」の政治構図に代わる新しい潮流をつくる算段だったのである。維…

超高齢化した党組織は2050年で〝自然死状態〟(生物学的生存危機)に直面するかもしれない、若者世代を迎えて党勢を立て直すには「開かれた組織」になるしかない、共産党はいま存亡の岐路に立っている(その17)、岸田内閣と野党共闘(82)

党員現勢は、人数(量)と年齢構成(質)が公開されて初めて正確な実態を知ることができる。毎年3月に発行される国立社会保障・人口問題研究所編集の人口統計資料集『人口の動向、日本と世界』(以下、社人研資料という)は、目次が「Ⅰ 人口および人口増加率…

『日本共産党の百年』が語らない〝長期にわたる党勢後退〟の原因、数の拡大を至上目的とする拡大運動が多数の離党者を生み出し、硬直的な組織体質が若者を遠ざけて党組織の高齢化を引き起こした、共産党はいま存亡の岐路に立っている(その16)、岸田内閣と野党共闘(81)

『日本共産党の百年』の「むすび――党創立百周年を迎えて」は、それ以前の五十年史や八十年史には見られなかった悲壮な言葉で綴られている。とはいえ、党の危機を訴える一方、なぜ〝長期にわたる党勢後退〟が継続しているかについては十分な説明がされていな…

多数者革命は「強く大きな党」ではなく「信頼と共感の党」でなければ実現できない、130%の党づくりは〝永遠の目標〟に終わるだろう、共産党はいま存亡の岐路に立っている(その15)、岸田内閣と野党共闘(80)

日本共産党の第29回党大会(2024年1月15~18日)が終わった。党大会は目玉とされた女性初の田村智子新委員長を選出して「刷新」のイメージを演出したが、志位委員長が空席の議長に就任し、常任幹部会委員を兼務することが判明してその期待は一気にしぼんだ。…

「表紙=女性委員長」だけ換えても「中身=志位体制」が変わらなければ意味がない、共産党はいま存亡の岐路に立っている(その14)、岸田内閣と野党共闘(79)

2024年1月15日から始まった日本共産党第29回党大会が、久しぶりでマスメディアの注目を浴びているようだ。私が定期購読している朝日、毎日、日経の各紙は1月16日、総合面や政治・外交面のトップ記事扱いで党大会を大きく報じた。以下は、見出しとリード文の…

30年足らずの間に3度の大地震に見舞われた日本列島、2024年は能登半島地震と羽田航空機事故で明けた

昨年暮れ、自民党政治資金(裏金)疑惑をめぐる東京地検特捜部の安倍派事務所と二階派事務所の強制捜査が始まり、日本政界に衝撃が走った。「パンドラの箱」を開けた――とまではいかないが、情勢によっては今後思いもかけない展開が待っているかもしれない。…

党勢拡大運動の破綻を外交日程の消化で覆い隠すことはできない、志位委員長は党勢拡大運動の失敗を第29回党大会はどう総括するのか、共産党はいま存亡の岐路に立っている(その13)、岸田内閣と野党共闘(78)

2024年元旦の赤旗を開いて驚いた。1面トップに「東アジアの平和構築へ、東南アジア3カ国、発見と感動の9日間、志位委員長が新春緊急報告」と題する大見出しが躍っているではないか。「6面につづく」とあるのでめくってみたら、6面から9面まで全てが「新…

「前原新党」は政界再編の波に乗れるか藻屑と消えるか、2024年京都市長選挙にみる政治構造の変化(下)、共産党はいま存亡の岐路に立っている(その12)、岸田内閣と野党共闘(77)

岸田首相の「安倍派一掃人事」から1週間余り、各紙の紙面には岸田政権への「ダメ出し」が目立つ。手元にある新聞スクラップ(12月分)の見出しを拾ってみても、容赦ない言葉が並ぶ。 〇「首相火だるま、見限る自民」(朝日新聞、14日) 〇「裏金疑惑と岸田首…

非共産対共産の「2極構図」が崩れ、維新・前原新党が加わった「3極選挙」時代が始まった、2024年京都市長選挙にみる政治構造の変化(上)、共産党はいま存亡の岐路に立っている(その11)、岸田内閣と野党共闘(76)

1カ月前には予想もつかなかった〝政局の嵐〟が政界を直撃している。自民党派閥の政治資金パーティー収入の裏金疑惑を受け、岸田首相は12月14日、松野官房長官、西村経済産業相、鈴木総務相、宮下農水相の4閣僚(いずれも安倍派)を交代(更迭)させ、後任人…

「政治資金収支報告」に見る党勢の消長、党費・赤旗購読料・個人寄付の縮小による「20世紀成長型モデル」の破綻、共産党はいま存亡の岐路に立っている(その10)、岸田内閣と野党共闘(75)

2023年11月24日、総務省から「2022年政治資金収支報告」が公表された。翌25日の赤旗には、日本共産党中央委員会(党中央)の政治資金収支報告概要が掲載され、財務・業務委員会の岩井鐵也責任者の談話が発表された。その中で私が注目したのは、次の4点である…

〝人口減少問題〟にまったく触れない決議案の不思議、第29回党大会決議案を読んで(2)、共産党はいま存亡の岐路に立っている(その9)、岸田内閣と野党共闘(74)

最近の赤旗広告欄で頻繁に目に付くのは、友寄英隆著『人口減少社会とマルクス経済学』(新日本出版社、2023年10月刊)の広告だ。友寄氏は共産党中央委員、赤旗編集委員、同経済部長、月刊誌『経済』編集長などを歴任した多数の著書を持つ共産党の理論家であ…

〝党勢後退〟についての本格的な分析と総活がない決議案では事態を打開できない、第29回党大会決議案を読んで、共産党はいま存亡の岐路に立っている(その8)、岸田内閣と野党共闘(73)

日本共産党第10回中央委員会総会(10中総)が終わった。第29回党大会(2024年1月)に提案される大会決議案が全員一致で採択されたというが(赤旗11月15日)、ざっと読んでみても疑問に感じる点が多い。最大の問題点は、これまでもしばしば言及してきたように…

政党は社会とのキャッチボールの中でこそ育てられる、党内外の多様な交流を妨げる「民主集中制」はその障害物でしかない、第29回党大会では「開かれた党規約」への改定が求められる、共産党はいま存亡の岐路に立っている(その7)、岸田内閣と野党共闘(72)

「革命政党」を標榜する共産党が、社会の〝前衛〟として大衆を導き、階級闘争を指導する時代はいまや遠くに去ったのではないか。大衆社会が〝市民社会〟へと発展し、国民一人ひとりの自発的意思に基づく世論が形成され、無党派層が政党支持層全体の半数に近…

党中央主導の「民主集中制」は半ば崩壊している、党勢拡大大運動は「笛吹けども踊らず」で成功しない、共産党はいま存亡の岐路に立っている(その6)、岸田内閣と野党共闘(71)

小池書記局長の「緊急の訴え」(赤旗10月21日)、「オンライン全国都道府県委員長会議への問題提起」(11月4日)に引き続き、今度は志位委員長のオンライン会議での「発言」が赤旗に大々的に掲載された(11月5日)。そこでは、「第一の手紙」に引き続いてな…

人口減少時代における「持続可能型モデル」の必要条件、「民主集中制」(党規約)の廃棄と党首公選制の実現が求められる、共産党はいま存亡の岐路に立っている(その5)、岸田内閣と野党共闘(70)

本論に入る前に、党勢拡大大運動の直近の進捗状況をみよう。赤旗(11月3、4日)によれば、小池書記局長は全国都道府県委員長会議(オンライン)で10月の党勢拡大の到達点について「党員拡大は680人、機関紙拡大では日刊紙(電子版含む)は前進、日曜版は123…

少子高齢化・人口減少が一段と加速し、新聞購読数が激減している中で、〝党勢拡大〟を追求する矛盾、「成長型モデル」から「持続可能型モデル」への転換が必要、共産党はいま存亡の岐路に立っている(その4)、岸田内閣と野党共闘(69)

かねがね思うことだが、共産党は政治の動きには素早い反応を示すが、社会の動向や時代の流れに関しては恐ろしいほど鈍感だ。目下、党の命運がかかっているとして連日ハッパをかけている〝党勢拡大大運動〟にしても、その視野は党周辺の狭い「拡大対象者」に…

時代と社会の流れが政治のあり方を決める、政党はその変化を受け止めなければ生き残れない、「身を切る改革」が必要なのは共産党だ、共産党はいま存亡の岐路に立っている(その3)、岸田内閣と野党共闘(68)

この1年余り、刊行された何冊かの日本共産党に関する著書のなかで大きな刺激を受けたのは、中北浩爾著『日本共産党、「革命」を夢見た100年』(中公新書、2022年5月)と碓井敏正著『日本共産党への提言、組織改革のすすめ』(花伝社、2023年9月)の2冊であ…

「数値目標」偏重では党勢伸びず、〝乾いた雑巾〟はもう絞れない、日本共産党9中総の志位委員長のあいさつを読んで、共産党はいま存亡の岐路に立っている(その2)、岸田内閣と野党共闘(67)

2023年10月5,6日に開かれた日本共産党第9回中央委員会総会(9中総)の冒頭、志位委員長は第29回党大会(2014年1月15~18日)に向けたあいさつで、「第29回党大会成功、総選挙躍進をめざす党勢拡大・世代的継承の大運動を、文字通りの全支部運動に発展させ、…

日本共産党は〝志位体制〟を固守してこのまま衰退の道を歩むのか、それとも刷新して再生の道を見出すのか、いまその分岐点に立っている(その1)、岸田内閣と野党共闘(66)

日本共産党百年史の際立った特徴は、〝党勢拡大〟がその根幹に据えられていることだ。党勢拡大の意義と重要性は、(1)日本の民主主義革命ひいては社会主義革命を達成するためには、何よりも党の〝自力〟をつけなければならない、(2)「革命政党」として…

日本共産党の統治システム〝民主集中制〟が機能不全に陥りつつある、志位委員長はこの危機を打開できるか(その7)、岸田内閣と野党共闘(66)

日本共産党創立101周年記念講演会が2023年9月15日に開かれ、志位委員長が「歴史に深く学び、つよく大きな党を――『日本共産党の百年』を語る」と題して講演した(赤旗9月16日)。昨年9月17日、志位委員長は「日本共産党100年の歴史と綱領を語る」とのテーマで…

党勢拡大運動の変遷から見た日本共産党史(2000年代~現在)、志位委員長はこの危機を打開できるか(その6)、岸田内閣と野党共闘(65)

志位書記局長が委員長に就任した第22回党大会(2000年11月)は、2005年までに「五十万の党」を実現するため5カ年計画が立てられたが、党員数は40万人余にとどまり目標を達成できなかった。しかし、それ以上に深刻なのは、党員の年齢構成が急速に高齢化しつつ…

党勢拡大運動の変遷から見た日本共産党史(1980年代~2000年代初頭)、志位委員長はこの危機を打開できるか(その5)、岸田内閣と野党共闘(64)

1960年代と70年代が〝大衆的前衛党〟の建設が進んだ「躍進の時代」だったとすれば、不破書記局長が〝百万の党〟を標榜した80年代から90年代にかけては、党勢拡大に急ブレーキがかかった時代だった。60~70年代は党勢拡大が計画的に進展したが、80年代に入る…

党勢拡大運動から見た日本共産党史(1960年代~80年代初頭)、志位委員長はこの危機を打開できるか(その3)、岸田内閣と野党共闘(62)

前々回の拙ブログで、日本共産党百年史のむすびが「党の政治的影響力は、党づくりで飛躍的前進を開始した1960年代に比べるならばはるかに大きくなっています。全党のたゆまぬ努力によって、1万7千の支部、約26万人の党員、約90万のしんぶん赤旗読者、約2400…