【臨時掲載その2】 福島知事選と沖縄知事選そして総選挙をめぐる若干の話題について、しばらく拙ブログを休んでいた理由と言い訳(1)

 ここ暫くは拙ブログ(つれづれ日記)を休んでいた。でも、怠けていたのではない。他の仕事と重なり身動きがとれなかったのである。他の仕事というのは、ひとつは同時並行して書いている同人ブログ『リベラル21』で10月26日に行われた福島知事選に関する論評が忙しかったことだ(興味のある方は読んで欲しい)。もうひとつは『ねっとわーく京都』(京都の月刊誌)の新年号原稿に追われていたことの2つである。

 福島知事選の論評を書くためには現地取材が不可欠だった。でもそれが諸般の事情で不可能になり、代わりに福島在住の友人からの情報と東北3紙の記事に頼ったというわけだ。岩手日報河北新報福島民報の3紙は京都市各行政区の市立図書館の新聞コーナーで(2日遅れ)読める。東日本大震災への応援の一環として備えられたと聞くが、この提案をした司書たちの気持ちが嬉しいし、また頼もしい。3紙を1週間ずつまとめて丹念に目を通すのはかなり辛い作業とはいえ、それでも新聞コーナーに通うのは苦にならない。この1週間ほどは新聞の山と格闘し、朝から夕方まで記事の分析に明け暮れていた。

 しかし今回の場合は、『ねっとわーく京都』の原稿の方がもっときつかった。前にも書いたように、この月刊誌の編集者は何も言わない(干渉しない)。私の担当する「コラム」という名の時事評論は、異例とも言える8頁もの頁数をもらっている(当初は編集者もこれほどの頁数は想定していなかったらしい)。しかし、取り上げるテーマも論評の仕方も全く私の自由なので、変なことを書いたら編集者が困るだろうと思い(1度そんなことがあった)、毎月何を書くかが頭痛の種になる。原稿の締め切りは毎月18日前後、発行されるのが翌月3日あたりだから、その頃の世間の話題や関心事を考えて毎日苦闘することになるのである。  

通常、締切日の1週間前あたりから準備を始めるが、今回の場合は特別だった。ちょうどその頃、安倍首相が消費再増税を予定通り実施するか、それとも延期するかをめぐってニュースが飛び交い、やがては解散・総選挙になるかもしれないという情報が急浮上していた。解散・総選挙ともなれば、これは一大事なので書かないわけにはいかない。しかし私は政治記者でもなんでもないので、選挙予想といった類の文章は書けるはずがない。どんな切り口でコラムを書くか、それがまた頭痛の種になった。

後で知ったことだが、11月2日の読売テレビで飯島内閣官房参与小泉首相の秘書)が「11月に総理が(消費再増税に関して)決断、12月2日衆院解散、同14日投開票、同24日内閣改造、予算は越年」との爆弾発言をしていた。バライエティ番組の中の発言なので詳しいことはわからないが、それでも小泉政権で辣腕を振るった飯島氏のことであり、しかも具体的な期日を示しての思い切った発言だけに、これを契機に一挙に解散風が吹き始めたらしい。そして飯島発言が決してウソでなかったことは、その後の選挙日程がその通りに進んでいることでもよくわかる。テレビバライエティ番組の中の発言とはいえ、人によっては馬鹿にならないと思い知ったのはそのときのことだ。きっと政権内部で事前に示し合わせ、機を見て観測気球を打ち上げたのだろう。

それからが大変だった。やっとの思いで原稿を書き上げたのが昨日17日の締切日、タイトルは「アベノミクスの危機は総選挙でも打開できない―安倍長期安定政権は夢のまた夢―」というものである。これは今年12月号の「地方創生でアベノミクスの危機は打開できるか―まち・ひと・しごと法案を解剖する―」の続編として書いたもので、アベノミクスの危機は「地方創生」でも「総選挙」でも打開できないことを私なりの視点で分析したものだ。

私の主張は、マスメディアでは消費再増税をめぐる解散劇に焦点を当てて報道しているが、安倍首相の真の解散動機は改造内閣の数々の不始末を覆い隠すためのもので、消費再増税の延期問題が主たる原因ではないというものだ。詳しくは今年12月3日発行の『ねっとわーく京都』の新年号を読んで欲しいが、僅か2ヶ月余り前の改造劇が余りにもお粗末で、起用した閣僚が悉く「政治とカネ」疑惑にまみれ(女性閣僚だけではない)、安倍内閣のダーティー・イメージがもはや払拭しきれないまでに悪化していること、それが政権発足以来の「過去最低」の内閣支持率低下の原因につながり、このままでは重要法案が目白押しの次期国会を乗り切れそうにないこと、この事態を乗り切るためには内閣総辞職を行い、総選挙後に「ガラガラポン」の内閣大改造を断行して問題閣僚を一掃する以外に方法がないこと、などがその理由である。

なかでも私が注目するのは、中国国営のメディアである新華社通信が「安倍内閣の地雷」と名指して批判した高市・山谷・有村各氏の「靖国参拝トリオ=極右3人組」が日中関係の改善にとって抜き差しならぬ障害になってきたことだろう。この「靖国トリオ」は今後の国会でも野党の格好の標的になるだろうし、また答弁次第では「ダブル辞任」ならぬ「トリプル辞任」につながる恐れもあって、危ない芽は事前に摘んでおきたいとの政権内部の意向が働いたに違いない。

しかし彼女ら(だけ)を辞めさせることは別の意味で安倍政権の打撃になる恐れがある。それはこれまで安倍政権を支えてきた極右勢力の離反と攻撃を招き、政権の支持基盤が一気に弱体化する危険性があるからだ。そんなことで内閣総辞職をすればその危険は回避できるし、また内閣のイメージチエンジにつながることもあって解散・総選挙のシナリオが書かれたのではなかろうか。(つづく)