大阪維新の会の固定票は「30万余り」ではなく「3割余り」もあるのはなぜか、それは特殊大阪的現象なのか、それとも全国的一般現象の先触れなのか、大阪都構想住民投票の意義と課題について(2)、橋下維新の策略と手法を考える(その30)

 各位から積極的かつ多彩なコメントをいただき感激している。政治学者でもない私のブログは一知半解を免れないが、こうした各位のコメントで補強していただくと幾らかは分析の手がかりも見えてくる。以下、各位のコメントから受けた示唆を参考にして、私なりに論点を提起したいと思う。

維新の得票は「固定票30万余り」でなく「固定率30%余り」として想定すべきだとするDK氏の指摘は、さすが専門家だけあってきわめて説得的だと感じた。また維新票は固定率33%で算出し、その他の政党は固定票(自民25万票、公明18万票、共産15万票、民主5万票)を定置し、無党派層の得票=投票総数−各党得票総数で算出するという計算式も面白かった。

 おそらくこの計算式は、投票率が上がれば維新の得票も一定の割合で増える(だから「固定率」)という維新支持層の特性を踏まえたもので、これまでの固定票の概念を覆すものと言ってよい。それだけ維新に勢いがあるということであり、対して既存政党の方は文字通り投票率の多少にかかわらず一定数の得票を確保するのが精一杯だから「固定票」のままでよいと言う論理で成り立っている。

 ここから2つの論点が浮かび上がってくる。第1は、維新の得票数を全国的に見れば凸凹で不均等だから、これは「特殊大阪的現象」であり、必ずしも全国的な一般的現象だとはいえない。さすれば、なぜ大阪だけに維新がかくも勢いがあるのか(あったのか)という分析が必要になる。この点について既に多くの方が言及されているが、全国比較の視点から改めて各位のコメントをお願いできればありがたい。

 第2は、橋下氏あっての維新だから、橋下氏が政界を去れば維新は瓦解するとうのが大方のマスメディアの見方となっている。これまでは維新の得票に「固定率」が適用できたとしても、これからは「固定票」の確保さえ危うくなってくるのではないかと推測される。しかしもし「橋下抜き」の維新がこれまでと同様に、あるいは多少の目減りがあっても一定数・一定率の得票を維持できるのであれば、大阪における維新の政治基盤はかなり強固なものがあると言わなければならない。維新の固定率・固定票はこれからどう変化するのか、この点についても各位のコメントをうかがいたい。

 この他、議論すべきことは沢山あるが、今回の論点を発展させていけば関連して議論できると思う。議論を複雑にしないためにも「ワンイシュー」で論点を深めて行きたい。(つづく)