昨日掲載した拙ブログに重大な計算ミスがありました。赤旗掲載死亡数1646人から年間死亡率を算出する計算が間違っていたのです。1646人÷30万人=5.5‰のところを6.7‰としたのです。電卓数字の見間違えとはいいながら恥ずかしいかぎりです。信じられないようなケアレスミスで深くお詫びします(年はとりたくないものです)。そこで9月10日の拙ブログはなかったものとしますが、誤りを残すために前稿はそのままにして、改めて本稿を掲載します。誠に申し訳ございません(以下、本文)。
赤旗日刊紙に掲載されている死亡欄に関心を抱いたのは、ここ2、3年のことだ。それまで毎日2、3名程度の掲載だったのが、近年は数名から10名近くに及ぶこともあって、なぜこれほど死亡者が増えているのか知りたかったのである。
私は住宅・都市計画の研究者なので、人口の年齢構成や人口増減(自然増減と社会増減の総和)の状況、人口推移の動向などに関する関心がもともと大きかった。高度成長時代の団地建設やニュータウン計画に際しては、人口急増の波に翻弄された苦い経験がある。当初見積もった規模をはるかに超える人口増が起り、保育所や小中学校がすぐにパンクしてどうにもならなくなったのだ。2DKサイズの団地住宅は成長する子どもたちで満杯になり、足の踏み場もないほどの過密状態となったのである。
ところが、最近はどうだろう。あれほど子供の姿で溢れていた団地やニュータウンが、高齢者団地、オールドニュータウンに変貌するようになったのだ。各棟で空き家が続出し、夜になっても灯りがつかない部屋があちこちでみられるようになった。所によっては明かりがつかない部屋の方が多くなり、団地全体が暗い闇に包まれているような印象を受けることも少なくない。
こんな状態が続けば団地はいったいどうなるのか、5年先、10年先を予測して対応策を考えなければならない――こんな仕事が最近多くなった。そんな時のデータベースになるのが、居住者の人口分析であり、それに基づく将来予測である。調査項目は、居住者の性別、年齢、家族構成、職業、転出意向などであるが、それらの分析から人口の動きを予測し、いろんな対応策を考えることになる。
前置きはさておき、赤旗日刊紙の党員死亡欄にはどのような情報が掲載されているのだろうか。基本項目は、氏名、住所(所属地区)、死亡年齢、入党時期、主たる役職などであり、葬儀日時や場所、喪主などが記されている場合もある。今回の集計では、性別(氏名から推察)、死亡年齢、入党時期、所属地方の4項目を取り出し、2018年1月から12月までの1年間、月毎に集計した。以下、集計結果の概要を述べよう。なお、比較の基準となる全国人口統計は、『人口の動向、日本と世界~人口統計資料集2019~』(国立社会保障・人口問題研究所編集、厚生労働統計協会発行、2019年2月)に基づいている。
(1)2018年1年間の赤旗掲載死亡者数は1646人(月平均137人)、党組織30万人を母数にすると年間死亡率は5.5(‰、対千人比)となる。しかしこの数字は、2017年の全国死亡率10.8(‰)と比較すると半分程度で異常に少ない。党組織30万人の中には未成年者(20歳未満)は含まれていないと思われるので、全国の数字から未成年死亡者数を減じて計算したが、年間死亡率は2017年10.5(‰)、2018年10.8(‰)と大差がない。したがって、2018年死亡者推計数は1646人×10.8/5.5=3232人となる。
(2)最近公表された2017年10月総選挙以降(2年間)の減少数は7300人、年間減少数3650人であるから、この数字が死亡数と離党数の合計だと考えると、3650人から死亡推計数を引いた約400人(3650人-3232人=418人)が離党数となる。
(3)だが、問題はもう一つある。この数字は、2018年の総人口1億2630万人(65歳以上28.2%、平均年齢47.2歳)と党組織の年齢構成が同じと改定して算出したもので、年齢構成に違いがあれば当然死亡率を補正しなければならない。社人研の将来人口推計によると、半世紀後の2065年時点の65歳以上は38.4%、平均年齢は55.7歳、年間死亡者数は155万7千人、年間死亡率17.7(‰)となっている。党組織の年齢構成は公表されていないので正確な数字はわからないが、これまで65歳以上が4割近くに達していると伝えられているので、2065年の全国推計値を適用して補正すると、3232人×17.7/10.8=5296人となり、赤旗掲載1646人の3.2倍に達し、公表された年間減少数3650人を1600人余り(3650人-5296人=-1646人)も上回ることになる。
(4)この差をどう考えるかであるが、例えば、党組織30万人という母数が過大で実態を反映していないという場合である。母数を25万人にして計算すると、年間死亡率は6.6‰(1646人÷250000人=0.0066)となり、死亡者推計数は約4400人(1646人×17.7/6.6=4414人)となる。母数を20万人にすると、年間死亡率は8.2‰(1646人÷200000人=0.0082)となり、死亡者推計数は3552人(1646人×17.7/8.2=3552人)となり、3650人とほぼ等しくなる。
(5)いずれにしても正確な実態が公表されていないので推測の域を出ないが、年間推計死亡者数は赤旗掲載分を大きく上回り、4000人前後に達していると思われる。引き続き分析を続けたい。(つづく)
2018年 性別(人) 死亡年齢(歳) 入党時期(年)
計 男 女 ~69 70~ 80~ 90~ ~59 60~ 80~ 00~
1月 166 115 51 21 45 67 33 28 97 12 29
2月 160 112 48 16 46 66 32 30 82 24 24
3月 167 109 58 25 48 63 31 25 98 18 26
4月 140 90 50 15 33 67 25 23 78 14 25
5月 106 72 34 9 27 43 27 20 58 12 16
6月 105 65 40 18 24 41 22 23 50 11 21
7月 127 83 44 13 43 40 31 13 78 16 20
8月 140 92 48 18 36 53 33 29 82 11 18
9月 116 76 40 14 34 43 25 30 54 16 16
10月 132 88 44 20 27 49 36 22 67 16 27
11月 153 106 47 19 34 64 36 29 76 16 32
12月 134 101 33 15 37 51 31 20 80 12 22
計 1646 1109 537 203 434 647 362 292 900 178 276
(%) 100.0 67.4 22.6 12.3 26.4 39.3 22.0 17.7 54.7 10.8 16.8
2018年 所属地方 (人) 平均死亡年齢(歳)
計 北海道 関東 中部 近畿 中国・四国
東北 九州・沖縄
1月 166 24 50 23 38 31 81.8
2月 160 17 41 24 50 78 80.5
3月 167 25 44 23 44 31 80.3
4月 140 25 39 22 37 17 81.0
5月 106 19 24 16 24 23 82.7
6月 105 16 38 19 22 10 80.7
7月 127 22 42 26 22 15 80.6
8月 140 12 54 16 32 26 81.3
9月 116 16 40 16 22 22 79.6
10月 132 19 50 17 30 16 82.2
11月 153 27 49 24 30 23 82.8
12月 134 23 39 19 37 16 82.4
計 1646 245 510 245 383 258 81.3
(%) 100.0 14.9 31.0 14.9 23.3 15.7