参院選終盤戦で情勢はどう動くか、改憲勢力「3分の2割れ」をめぐる攻防(2)、改憲派「3分の2」時代を迎えて(その164)

 

7月15日、各紙は参院選後半の選挙情勢に関する有権者調査(7月13、14日実施)を発表した。序盤情勢に関しては、各紙とも情勢分析にそれほど大きな違いはなく、自公与党が改選過半数を制するものの、維新等の改憲勢力を含めても3分の2に届くかどうかは微妙...というものだった。それが後半情勢に関しては、各紙によって若干見方が分かれてきているのである。

 

例えば、日経新聞は1面トップの見出しで「改憲勢力3分の2迫る」と大きく打ち出し、2面でも「自民、選挙区で堅調」「比例も自民優位に」「1人区 野党共闘伸び悩み」と断定的に分析している。その背景には、(1)内閣支持率が49%に達し、不支持率35%を大きく上回っていること、(2)政党支持率でも自民党が43%で断トツ1位であり、2位の立憲民主党11%を大きく引き離していることがある。つまり安倍政権は、内閣支持率をみても政党支持率をみても極めて安定した政治基盤を築いており、どこから見ても負ける要素がないと見られているのである。

 

これに対して、毎日新聞は「改憲 3分の2厳しく」「1人区 自民防戦」と反対の見方を示している。最大の理由としては、序盤情勢に比べて32カ所ある1人区で野党優勢の選挙区が5から7(岩手、宮城、新潟、山形、長野、愛媛、沖縄)に増えたことを挙げている。しかし、自民優勢の1人区が20もあり、残り5選挙区(青森、秋田、三重、滋賀、鹿児島)では接戦が続いているというので、前回2016年参院選で野党が獲得した11議席を超えることができるかどうかはわからない。

 

一方、読売新聞は「与党 改選過半数の勢い」「1人区 自民優位」と分析しているが、「与党・改憲勢力2/3焦点」としてまだ明確な判断を下していない。ただ、勝敗の行方を決する1人区の情勢分析をみると、野党統一候補がリードしているのは3選挙区(長野、愛媛、沖縄)だけで、7選挙区(岩手、宮城、秋田、山形、新潟、滋賀、大分)が接戦、残り22選挙区は全て自民リードとなっている。これは、毎日新聞が野党優勢とした7選挙区(岩手、宮城、新潟、山形、長野、愛媛、沖縄)のうち4選挙区(岩手、宮城、新潟、山形)を接戦区とするもので、それが分析の分かれ目になっているのである。

 

情勢がこのように流動しているためか、朝日新聞は情勢分析に消極的で明確な方向性を打ち出していない。その結果、選挙情勢分析というよりは世論調査結果の解説にほとんどの紙面を割いている。その中で気になるのは、第2次安倍政権の評価に関する質問と回答だ。質問は「第2次安倍政権が発足して6年半がたちました。安倍首相のこれまでの実績について、どの程度評価しますか」というもの。これに対する回答は「大いに評価する」9%、ある程度評価する」54%、「あまり評価しない」24%、「全く評価しない」11%と、圧倒的に評価側に傾いている。

 

消費税増税や老後年金に対する取り組みなどに関しては、これまでと同様に否定が肯定を上回っているが、安倍政権の6年半の「実績評価」にこれほどの肯定意見が寄せられるとは、意外にも意外と言わなければならない。私自身は、いったいどこがよくてこんな数字が出て来るのかさっぱりわからないが、世論調査の数字だからから受け入れるほかはない。とはいえ、これが総体的な国民の意見であるとしたら、安倍政権の失政を追求する野党の選挙方針が宙に浮かないとも限らない。改めて選挙終盤戦の戦略を検討する必要があるのではないか。

 

全体的な情勢はこれぐらいにして、注目すべき選挙区について少し感想を述べたい。取り上げるのは、大阪選挙区(定員4人)と京都選挙区(2人)だ。大阪選挙区は、維新が現職と新人2人を擁立し、自民、公明、共産現職3人が議席を守れるかどうかが焦点となっていた。序盤戦ではまだはっきりとした情勢がわからなかったが、後半戦では維新2人が当選圏内に入ったとの情勢が確定的となり、その煽りを喰って目下共産現職が弾き飛ばされそうな状況になっている。

 

若手の共産現職は、国会論戦でも他党を圧する力量を発揮した実力派であるにもかかわらず、なぜポット出の維新新人候補がこれほどまでに支持を集めることが出来るのか。大阪ダブル選挙で圧勝した維新の勢いが今も続いているとはいえ、若者中心の投票行動の分析を充実させることなしには、これからの選挙には勝てないことが明らかになってきているのだと思う。

 

京都選挙区についてはどうか。京都は「非自民、非共産」を掲げる旧民主系勢力の牙城だ。それが国民と立民に分裂したとはいえ、その接着剤となる連合が依然として強力な投票動員力を持っていることには変わりない。今回の参院選では国民と立民は候補者擁立をめぐって主導権争いを繰り返した挙句、漸く国民が降りて候補一本化した。それが、後半戦になって自民候補が独走する中で、立民のターゲットは共産現職に絞られ、「非共産」の旗を掲げた激烈な戦いとなっている。

 

1人区では野党統一候補の一本化が漸く成立したものの、複数区では「切磋琢磨」が原則とのことで候補者調整は一切行われず選挙戦に突入した。京都選挙区はその最前線であり、選挙結果が今後の野党共闘の行方を占うシンボルともなっている。選挙終盤戦での両選挙区の動向に注目したい。(つづく)

参院選序盤の選挙情勢をどう見る、改憲勢力「3分の2割れ」がもたらすもの(1)、改憲派「3分の2」時代を迎えて(その163)

 

7月6日、各紙は参院選序盤の選挙情勢に関する有権者調査(7月4,5日実施)を発表した。見出しは、朝日「自公、改選過半数の勢い、改憲勢力2/3は微妙」、毎日「改憲3分の2割れも、与党、改選過半数は確保」、日経(共同通信)「自公、改選過半数の勢い、改憲勢力2/3うかがう」というもの。各紙が挙って同じ情勢を報じているのだから、情勢分析の確度は相当高いと思える。残念ながら「自公、過半数割れ」は望むべくもない以上、焦点は「改憲勢力、3分の2割れ」に移ることになる。果たしてこれが可能なのか。もう少し、各紙の解説を紹介しよう。

 

【朝日】

改憲発議が可能になる「3分の2」は164議席。自公与党に維新、与党系無所属を加えた「改憲勢力」は非改選79議席あり、改選で85議席が必要だ。自民、公明、維新の3党で計80議席前後となりそうで、85議席に届くかは微妙だ。

 

【毎日】

自公は衆院で3分の2を確保し、参院では維新と、改憲に前向きな無所属議員と合わせて3分の2を占める。非改選の改憲勢力議員は79人で、3分の2の維持には85人の当選が必要だ。序盤情勢では自公維3党は69議席からの上積みを狙う。党勢が好調なら3党で85に達する可能性もある。

 

【日経(共同通信)】

 自民、公明両党は改選124議席の過半数63を超え、改選前の77議席前後まで積み上げる勢い。安倍政権下での憲法改正に前向きな「改憲勢力」は、国会発議に必要な3分の2以上の議席維持をうかがう。野党は立憲民主党が改選9議席からの倍増を視野に入れるものの、全体では伸び悩む。

 

 私が注目するのは、選挙公示日直後の有権者調査で早くも「改憲勢力3分の2割れ」の兆候が出ていることだ。本格的な論戦が始まる前段階でこのような兆候があらわれているのは、国民の間に流れている「安倍改憲」への根強い警戒心を示すものだろう。今後、安倍首相が改憲姿勢に前のめりになればなるほど、国民の警戒心はますます高まるに違いない。

 

その一方、予想外だったのは1人区での野党共闘の不振ぶりだ。毎日新聞は「1人区、苦しい野党」「共闘空回り、優勢5区」と見出しでその実態をあまねく伝えている。表向きは野党共闘であっても、(1)立憲民主と国民民主の主導権争いが解消されず、互いの支援活動に腰が入ってないこと、(2)共産に対する他党支持層のアレルギーが根強いこと、(3)無所属の野党統一候補は18選挙区に上るが、政党色を抑え幅広い支持を得る狙いが十分に発揮されていないこと、などがその原因だという。それに、1人区はもともと自民が強い選挙区であること、野党統一候補はほとんど新人で名前が浸透していないこともある。

 

しかし、より根本的な問題は、安倍政権の政策に賛成はしないが自民に投票するとする支持層が多数存在するということだ。朝日新聞によると、年金だけでは「2千万円不足」という問題に関しては、麻生金融担当相が報告書の受け取りを拒んだ対応について「納得できない」62%、「納得できる」16%と大差がついているにもかかわらず、納得できない層の比例区投票先は自民40%に達し、立民24%を大きく引き離している。また、消費税増税に「反対」する人の比例区投票先も自民40%、立民21%とこれも変わらない。つまり、政策に関係なく自民を支持する有権者が多数いるということだ。

 

おそらくこのギャップは、選挙戦の中盤から終盤にかけて縮小するものと思われるが、目下のところは「選挙戦が始まったばかりの現時点では、これらの問題に関する批判層が野党に大きく流れる状況までには至っていない」(朝日)というのが実態だろう。だが、果たしてこのような状況は起こりうるものなのか。

 

私はその背景に、政策で政党を選択するという近代政治の基本が国民の間に浸透していないことがあるのではないかと疑っている。また、その原因として野党が本当に国民に信頼されていないのではないかと思っている。民主党政権による無様な政権運営、野党転落後の見苦しい分裂、最近では元閣僚の自民入党など、野党の存在意義を揺るがす不祥事には事欠かないからだ。

 

また、野党共闘の不振に関しても、これまで金科玉条の如く「自共対決」を叫んで野党共闘を拒んできた共産に責任がないとはいえないだろう。国民は「昨日の敵は今日の友」なんて言われても、そう簡単に信用することができないからだ。いずれにしても、政策を掲げるだけでは野党の存在意義を国民に納得させることはできない。それを示すのは政策を実行する政党の体質なのである。(つづく)

ナチス突撃隊張りの足立康吏衆院議員の野党攻撃、維新は結社の自由、政党の存在を否定するのか、維新のこれから(10)、改憲派「3分の2」時代を迎えて(その162)

 いまどきこんな極右体質の国会議員がいるかと思うと、背筋が寒くなり身体中に戦慄が走る。2019年6月25日、衆院本会議における維新代表・足立康吏議員の発言が耳から離れない。足立議員は安倍内閣不信任案決議に反対する理由として、「共産党と同じ行動をとるのが死んでも嫌だからだ」と臆面もなく述べたのである。「死んでも嫌」という表現は、相手の存在そのものを否定する主張すなわち「共存の否定=民主主義の否定」につながる。共に生きるのが嫌であれば、自分が死ぬか、相手が死ぬか(殺すか)のどちらかを選ぶしかない。憲法で保障された基本的人権としての思想信条の自由、結社の自由を根本から否定する恐ろしい考え方だ。

 

 足立議員といえば、これまでも野党各派に対して聞くに堪えないような罵詈雑言を数知れず繰り返してきた悪名高い人物だ。2016年当時、野党第1党だった民進党に対しては「民進党はあほでバカでどうしようもない政党」「民進党はウソつき」「最大の違憲集団こそ民進党」などと議場で数回にわたって放言し、ブログでは「民進党に国会の議席は不要」とまで書き込む有様だ。なにしろ野党側からは年4回も連続して懲罰動議を出されるという、憲政史上比類のない「新記録」をつくった人物なのである。

 

 不思議なことに、足立議員に対しては野党側から繰り返し懲罰動議が出されているにもかかわらず、その取り扱いを協議する(与党主導の)衆院議院運営委員会では結論が出されないままで放置されている。このため動議は懲罰委員会にかからず、足立議員は登院停止や資格停止などの処分もなく、責任も問われないままノウノウと問題行動を繰り返す状況が続いている。つまり、足立議員は与党に庇護されることで(飼われることで)、野党攻撃の「鉄砲玉」としていとも効果的に利用されているのである。

 

 足立議員の攻撃は、朝日新聞などリベラルなメディアにも向けられている。朝日新聞は、2017年11月11日の社説で文部科学省の審議会が加計学園の獣医学部の新設を認める答申をしたことに関し、「『総理のご意向』をめぐる疑いが晴れたことにはまったくならない」と指摘した。これに対し足立議員は、ツイッターにこの社説を引用した上で「朝日新聞、死ね!」とのドギツイ言葉を投げつけ、おまけに「拡散歓迎」との書き込みまで付け加えたのである。ことあるたびに「死ぬ」「死ね」を連発する足立議員は、物事の決着を相手の抹殺によって付けようとする衝動に駆られるのであろう。行き着くところは、ナチスドイツの「ホロコースト」の道に通じるのではないか。

 

 アメリカのトランプ大統領も、自らの言動に批判的なニューヨークタイムズ、ワシントンポスト、CNNテレビなどのメディアを「フェイク」と決めつけることで知られる。取材拒否を始め、あらゆる手段を使ってその影響力を削ごうとする。安倍首相も、読売、産経、フジテレビなど右派メディアを重用する点では「親密な友人」と変わりない。まして、足立議員のような無鉄砲な人物がいれば、これを利用しない手はないと考えるのがごく自然だろう。だから、足立議員は懲罰委員会にも掛けられずに泳がされ、安心して野党攻撃の「鉄砲玉」としての役割を果たすことができるのである。

 

 維新は6月27日、次期参院選の公約を発表した。毎日新聞(6月28日)を除いて内容を報じたメディアは見当たらないが、私はその中の「憲法改正」に関する項目を読んでゾッとした。その内容は以下の通りだ(抜粋)。

 「9条議論の前提として、旧日本兵らのための国立追悼施設の整備や米中央情報局(CIA)のようなインテリジェンス機関を創設。各党に具体的改正項目の提案を促し、衆参両院の憲法審査会をリードする」

 

 「旧日本兵のための国立追悼施設の整備」及び「米中央情報局(CIA)のような諜報機関の創設」を維新がことさらに参院選公約として掲げたことは、維新の目指す国家像を明らかにするうえで重大な意味を含んでいる。端的に言えば、それは「靖国神社の国立化」であり、「特高警察の拡大強化」にほかならない。軍事支配体制のためのイデオロギー拠点施設として国立追悼施設をつくり、実行部隊としてCIAのような謀略諜報機関を創設するとの方針なのだ。ナチスドイツでいえば、国民生活の隅々までナチズムを浸透させた情報宣伝局と秘密警察(ゲシュタポ)を併せ持ったような体制を整備しようというのである。

 

 維新は目下参院選に向け、大阪以外の地域で候補者擁立に精力的に動いている。北海道では「新党大地」の鈴木宗男代表、東京では「都民ファースト」出身の元都議、神奈川では「希望の党」前代表の松沢参院議員など、とにかく票を稼げる候補者は所属を問わず大歓迎というわけだ。その背景には、維新は大阪では猛威を振るっていても、全国的には広がらないという焦りがある。なぜなら大阪を除く国政選挙の比例代表の得票数は、2012年衆院選の1080万票が17年衆院選では僅か5分の1の245万票へ激減したからである(毎日新聞2019年6月22日)。

 

 だからこそ、維新は大阪ダブル選挙の勢いを駆って次期参院選で一気に勢力を挽回する戦略をとらざるを得ない。それが足立議員を代表に立てての野党攻撃を主とする内閣不信任案決議反対の発言であり、参院選における突出した極右的政策の打ち出しとなって表れている。「日本のこころ」や「希望の党」など極右政党が軒並み退場した現在、その支持層を維新が一手に集めるには足立議員のような「鉄砲玉」が必要であり、自民党より右の政策が有効だと判断しているためであろう。

 

維新幹部の吉村大阪府知事は6月28日、大阪府庁で記者団に対し「特に憲法改正は強く訴え、議論をリードしていきたい。今の自民党に任せていたら全然進まないので、参議院選挙ではこの点を訴え、憲法改正を強烈に引っ張っていく役割を果たしたい」と述べた(NHKウェブニュース)。吉村知事も足立議員と同じく極右体質の政治家であり、外見は異なっていても根はつながっている間柄だ。参院選では両者は並び立って活躍するだろう。だが、審判を下すのは全国の有権者だ。選挙結果の行方を注視したい。(つづく)

 

大阪都構想は政治闘争ではなく行政課題だと維新市議が放言、大阪維新の過信はここまできた、大阪維新のこれから(9)、改憲派「3分の2」時代を迎えて(その161)

 

 2019年6月21日、大阪府と大阪市は大阪都構想の具体案を作成する法定協議会を再開した。これから約1年をかけて具体案をまとめ、来年秋には都構想の是非を問う住民投票を実施することになったらしい。公明が国政選挙で対立候補を立てるとの維新の恫喝に屈服して都構想賛成に変節したこともあり、維新は自信満々の様子で法定協議会を仕切ったという。

 

席上、ある維新市議は「都構想は政治闘争ではなく行政課題へとステージが進んだ」(朝日新聞6月22日)とまで断言する始末、住民投票なんてまるで眼中にないと言わんばかりだ。維公で事を決めれば全てに片が付く、自民は付いてくるしかない、住民投票も予定通り成立する――まさに、それが事務的な「行政課題」という言葉になったのだろう。

 

確かに、この間の自民の態度は混迷を極めた。政党としての体をなしていないと言っていい。大阪市議団や堺市議団が都構想反対で「1ミリもブレない」と頑張っているのに、府議団は様子見のダンマリ戦術で押し通し、国会議員団は渡嘉敷会長以下ほとんどが都構想賛成というのだから、まったく話にもならない。6月14日の自民大阪府連の会議では、渡嘉敷会長の「住民投票に賛成」との言葉は、都構想そのものに賛成と誤解されるとして、「住民投票で決着をつけるに賛成」と読み替えたというが(毎日新聞6月15日)、有権者をだますのもほどほどにしてほしい。こんなことでは、自民が都構想に賛成なのか反対なのか、どちらに行くかわからないではないか。

 

それに、堺市議団から出された渡嘉敷会長の辞任要求の取り扱いがどうなったのか、これもはっきりさせなければならない。渡嘉敷会長は「(自分の意見表明に対して)誤解があったが互いに歩み寄り、良い話し合いができた。みなさんが自民党の底力を見せてくれた」とわけのわからないコメントをしたらしいが(毎日、同上)、誤解も何もあったものではない。彼女は都構想に賛成することを条件にして大阪府連会長を引き受けたと公言しているのだから、その責任を最後まで取らなければならない。

 

だが、維新は世論を甘く見過ぎているのではないか。維新幹部は目下、首相官邸のバックアップを受けて国政選挙では北海道や東京など全国から候補者擁立を進める準備を進めているが、大阪や兵庫を除いて有権者がどう反応するかは皆目見当がつかない。京都選挙区でも維新が候補を立てると言っているが、前の国政選挙でポット出の維新女性候補が最下位で惨敗したことを忘れないでほしい(比例代表名簿第1位で復活当選はしたが)。

 

大阪の地域政党にすぎない維新が国政政党として進出しようとすれば、大阪万博とIRリゾートだけでは全国で相手にされないだろう。と言って、本格的な極右的政策を掲げれば自民保守派との見分けがつかなくなり、自民の陰に埋没してしまう可能性が大きい。それに、これまで維新が散々使ってきた「身を切る改革」の表看板も最近は日ごとに褪せてきて、もう誰も振り返らなくなった。国民が日々「身を削る思い」で暮らしている時に、これ以上身を削られてはたまらないからだ。

 

加えて、維新の時限爆弾ともいうべき「丸山穂高問題」がある。彼こそが維新の極右的体質を代表する人物であるからこそ、なぜ自分が松井代表らから一方的に切られるのか納得できないのであろう。維新にふさわしい意見を自分が代わって堂々と述べたことのいったい何処が悪いのか、だから俺は絶対に辞めないと心に固く誓っているのである。私はその意気が萎えないことを心密かに期待する。彼が頑張れば頑張るほど、維新の素顔がますます露呈し、化けの皮が剥がれてくるからだ。渡嘉敷自民大阪府連会長のように「誤解」だと言って自分の意見をごまかすような人物に比べれば、丸山穂高氏の言動ははるかに筋の通ったものではないか。

 

この参院選は当初の「安倍圧勝」の勢いは何処へやら、最近になって何だか雲行きが怪しくなってきた。1年間に銀座の高級寿司店やクラブで2千万円を超す交際費を湯水のごとく使う麻生氏にとっては、老後に2千万円程度の貯えがない方がおかしいと思うのは当然だろう。自分の年金も知らない、受け取ったこともないとうそぶくような人物が、爪の先に火をともして暮らしているような国民の年金を左右しているのである。これを聞いて怒らない方がどうかしている。私の周辺では「草の根保守」の高齢者たちが、今度は麻生にお灸をすえてやると息巻いている。

 

大阪都構想を阻止する局面はいよいよ市民運動に移った。もはや府議会でも大阪市議会でも、都構想反対派は見る影もない少数派に転落した。都構想の主戦場はいよいよ市民が担う住民投票に移行したのである。政党党派を超え、都構想反対の一点で結集する市民運動の台頭が望まれる。都構想反対のためには大阪市民も堺市民もない。大阪市での住民投票は堺市の運命に直結する。堺市長選で大きな成果を挙げた堺市民は、今後の展望を含めて大阪市民と心ゆくまで話し合ってほしい。(つづく)

大阪都構想にブレーキが掛かった、堺市長選の大接戦が次の展望を切り開いた、大阪維新のこれから(8)、改憲派「3分の2」時代を迎えて(その160)

 全国注視の中で堺市長選が2019年6月9日(日)に投開票された。翌10日(月)は新聞休刊日なのでどうしようかと思っていたら、当日深夜に「堺からのアピール・市民1000人委員会」から選挙結果についてのメールが送られてきた。6月11日(火)の各紙朝刊と読み比べてみても、内容は正確であり、かつ分析も的確なので以下に再録したい。

 「堺市長選へのご支援ありがとうございました。得票が確定しました。維新・永藤137,862票(得票率49.5%)、無所属・野村123,771票(得票率44.4%)、諸派・立花14,110票(得票率5.1%)、投票総数278,808票(投票率40.8%)でした」

「当初はダブルスコアの差を付けられていた野村が、選挙戦での論戦を通じて猛追。大阪ダブル選挙での維新圧勝、堺市議選での維新陣営の3万の得票増、竹山問題での維新のアドバンデージ、候補者擁立の決定的遅れ(永藤は大型連休前4月末に擁立決定、野村は5月17日出馬表明)など、維新が得票を大きく上積みするのではないかと思われましたが、結果は、維新は前々回の市長選で140,569票(得票率41.5%)、前回が139,930票(得票率46.2%)、今回が137,862票(得票率49.5%)と票を減らし続けています。よく言って頭打ちです。維新支持者は強固ですが広がっていません」

「他方、我々側は候補擁立の出遅れや政治不信の蔓延、選挙疲れなどで得票率を上げることができませんでした。一時は30%台まで落ちるかもと懸念されたものの、選挙が熱気を帯びる中で何とか40%台を確保しました。しかし橋下が堺に襲い掛かってきた前々回の51%、前回の44%には及びませんでした。維新を落とすためには投票率が決定的です。もう一歩足りませんでした」

「論戦では維新が都構想論議を隠し、抽象的な『府市一体の成長』を叫び、あとは政治とカネなどで様々なフェイクをばらまき、こちら側への口汚い攻撃に終始したのに対して、野村・チーム堺側は地道で細やかな政策をこれまでの成果と今後の見通しを提起し、そのためにも政令市維持が必要だと愚直に訴え続けました」

「選挙態勢でも共産党も加わる『住みよい堺市をつくる会』の活動や『1000人委員会』など市民グループの創意を包み込み連携する態勢が作られました。『1000人委員会』では若い人の立ち上がりと下からの創意工夫、自発性も育ちました。私たちはこれから4年間の維新・永藤市政と対峙し、市民生活破壊は許さない陣形をさらに強化していきます。とりあえず急ぎのご報告とお礼に変えます」

 

立派な総括なのでもはやこれ以上付け加えることもないが、マスメディア関連の記事も含めて多少の感想を述べてみたい。まず、大手紙の見出しと記事はいずれも得票数の「僅差」や選挙戦における両陣営の「接戦」を強調するもので、とりわけ反維新陣営の「猛追」に注目した記事が多かった。例えば...

 

〇産経新聞

―「反維新のとりで」とも呼ばれた前市長の竹山修身氏が「政治とカネ」の問題で失脚。追及の先頭に立ってきた維新に追い風が吹く中で迎えた選挙戦だったが、蓋を開けてみれば次点候補に1万4千票差という「薄氷」の勝利だった。この結果について維新代表の松井一郎・大阪市長は、「やはり都構想への拒否感ではないか。これを解消できなかったのは、われわれの力不足だ」と反省を口にした。そのうえで、大阪市のみを廃止・再編する現状の都構想の取りまとめに集中したい」と述べた。

 ―一方、永藤氏を猛追した元堺市議、野村友昭氏の反維新陣営も結果に一定の手応えを感じている。野村氏を支援した自民党の岡下昌平衆院議員は取材に「都構想に『ノー』と唱えた野村氏に自民支持層の半数以上が票を投じた」と指摘し、維新への融和を打ち出す渡嘉敷奈緒美会長を牽制。自民の堺市議団を中心に、今後も反都構想の運動が継続されるとの見方を示した。

 

〇日本経済新聞

 ―都構想の賛否を問う住民投票が2020年秋にも実施される見通しの中、永藤氏は都構想の堺市の参加を巡る議論を〝封印〟した選挙戦を展開した。会見でも永藤氏は「まだ堺市では検討もされていない。大阪市の議論を見守りたい」と述べるにとどめた。...「本当に大変な選挙だった。対立候補を応援した人の意見にも耳を傾けながら、堺のために必要なことを進めたい」。9日夜、接戦を制した永藤氏に笑みはなく事務所に集まった支持者らに引き締まった表情で挨拶した。

 ―野村氏を支援してきた自民の岡下昌平衆院議員は、辞職した竹山前市長を自民が支えてきたことに触れ「今回はマイナスからのスタートだった」と振り返る。「当初は大差で敗れるとの予想もあったのに、ここまでやれたのは驚き。都構想に反対するスタンスは一切変わらない」と力を込めた。一方、自民大阪府連の渡嘉敷奈緒美会長は9日夜に記者会見し、「国政で対極にある共産党と連携しているように見えたことが敗因」と分析した。渡嘉敷会長は21日に再開される法定協議会までに都構想に対するスタンスを明確にするとしている。「共産と立ち位置を変えて、住民投票に賛成する立場を明確にする」と述べた。

 

 このように、大阪都構想の実現に肯定的であり、大阪維新を支援している産経、日経両紙でさえが、堺市民に通底する強い「都構想への拒否感」の存在を認めざるを得なかったことは注目に値する。このことは、都構想を封印して選挙争点から逸らし、「政治とカネ」問題に有権者の目を引きつけ、「府市一体の成長」キャンペーンで漠然とした期待を盛り上げるという維新陣営の選挙戦略を根底から突き崩すものとなった。維新候補自身の「大変な選挙だった」との嘆息や、松井代表の「われわれの力不足」といった発言は、この「想定外」の事態に対する彼らなりの反省の弁でもあろう。

 

 ところが笑止千万なのは、渡嘉敷自民大阪府連会長が「(野村氏の)敗戦の理由は共産党と連携しているように見えたこと」と断言し、「共産との連携を断ち切るのが大切だ」と言い放ったことだ(朝日新聞6月11日)。自民大阪府連が反維新陣営の候補を支援せずに傍観したうえ、あまつさえ大阪都構想に反対する市民の連携を非難したことは、この人物をはじめとする大阪自民国会議員の大半が公明と同じく維新の側に立っていることを意味する。まさに反維新陣営は「身内から鉄砲玉が飛んでくる」(毎日新聞6月10日)状況に置かれていたのであり、このことが今後の国政選挙に多大な影響を及ぼすことは避けられないだろう。より具体的に言えば、反維新陣営に非協力的だった自民国会議員は今後地方議員からの支援を受けることが難しくなり、次の国政選挙では呵責のない洗礼を受けると言うことだ。

 

 一方、反維新陣営に結集した会派や市民グループは、次の目標に向かって確かな橋頭堡を築いたと言える。これから激化する市議会での攻防はともかく、次期市長選までの4年間に市民の間でどれだけ「反維新=反都構想」のネットワークを拡げることができるかがカギとなる。僅か3週間で維新陣営と対等の選挙戦を展開するまでに成長した集団なのだ。4年間の月日が経過する中で次々と明らかになってくる大阪都構想の欺瞞と矛盾を暴き出し、大阪市民とも連携して来年秋の都構想住民投票で勝利する体制を整えることが堺での勝利につながる。6月23日には市民レベルの総括集会が開かれると聞くが、その時には来年の大阪市住民投票についても話し合ってほしい。(つづく)

堺市長選が始まった、合同選対本部の設置なしには、堺自民・共産・立憲・市民ボランティアの「混成部隊」は維新・公明の「正規軍」に惨敗するだろう、大阪維新のこれから(7)、改憲派「3分の2」時代を迎えて(その159)

 

 5月26日から堺市長選が始まった。6月9日(日)が投開票日なので、選挙運動期間は僅か2週間しかない。人口80万人の政令指定都市の市長選がたった2週間とあっては、それ以前の準備状態で勝敗が決まると言っても過言ではない。しかし、反維新側の自民堺市議が離党して立候補表明したのは選挙公示日直前の5月18日(土)のこと、それ以前に万全の準備を整えて出馬表明した維新側候補に比べると、情勢が極めて不利なことは否めない。

 

 加えて今年4月7日(日)投開票の堺市議選では、大阪維新が前回の14議席(得票数9万9千票・得票率31%)から18議席に(13万1千票・39%)に躍進し、ダントツの第1党に躍り出た。公明は現状維持の11議席(6万票・19%、→5万9千票・18%)、自民は1議席増の9議席(5万7千票・18%→5万9千票・18%)を死守して何とか支持層を固めたが、割を食ったのは共産、立憲、無所属だった。共産は6議席(4万票・13%)から4議席(3万5千票・10%)へ、立憲は2議席(1万9千票・6%)から1議席(1万6千票・5%)へ、無所属も7議席(4万2千票・13%)から5議席(3万5千票・10%)へとそれぞれ大きく後退した。要するに、共産・立憲・無所属が大阪維新に票を喰われたのである。

 

 堺市長選の公示日、5月26日(日)の維新・公明の合同記者会見で、公明が維新に屈服表明したことの影響も大きい。このことは、衆院選大阪16区(堺市の中心区)が地盤の北側一雄氏(公明党副委員長)に対して、維新が対抗馬を出さないことを約束し、その代り堺市長選で公明が維新側候補を支援するという取引(ディール)が成立したことを意味する。直前の堺市議選の政党別得票数を基礎にして、維新・反維新の両候補の基礎数を計算すると以下のようになる。

〇維新側候補20万7千票=維新13万1千票+公明5万9千票+無所属1万7千票〈1/2〉

〇反維新側候補12万7千票=自民5万9千票+共産3万5千票+立憲3万8千票+無所属1万7千票〈1/2〉

 

 5月28日(火)の午後から夜にかけて、私は市民ボランティアの事務所や集会の様子を見て回ったが、集会では参加者の発言を聞いて衝撃を受けた。反維新側はそれぞれ勝手連的に選挙運動を展開しているのだが、それが候補者の運動に結びついていないのだ。例えば、駅前の街頭演説で候補者が雨中で懸命に訴えているにもかかわらず、周辺には運動員がチラホラとしかいないといった状況があちこちで見られるという。

 

 大阪維新と公明が構成する選挙陣営は〝正規軍〟なのである。彼らの陣営には選挙参謀としてプロの大手広告会社が常駐し、選挙情勢を分析して宣伝活動や集票活動の指揮を執っている。街頭宣伝には近畿地方の維新議員が組織的に動員されて宣伝活動を担い、地元の維新堺市議団はもっぱら業界や地域を回って集票工作を担当するなど、分業体制も徹底している。そして決起集会には、吉村知事や松井市長が駆け付けて候補者と揃い踏みをするという演出も凝らされているのである。

 

 これに対して、反維新陣営は勝手連的な〝混成部隊〟でしかない。それぞれのグループでは頑張っているが、それらのエネルギーを束ねて大きなうねりを作っていく参謀本部や司令部が不在なのだ。大阪ダブル選挙では反維新候補として有為な人材を擁立したにもかかわらず、維新陣営の際立った組織戦に負けた。反維新陣営の中核となるべき自民大阪府連が分裂し、選対本部が機能せず、自主的に支援する各政党や市民グループとの協力体制が成立しなかったためだ。

 

 堺市長選では大阪ダブル選挙の誤りを繰り返してはならないだろう。堺自民はもはや大阪自民からの支援は得られない以上、支援政党や市民グループと共闘体制を組むしかない。その要となる「(暫定)合同選対本部」を直ちに設置し、選挙態勢を立て直さない限り勝利の展望は見えてこない。待っているのは“惨敗”だけだ。残る時間は僅かであり、関係者の決断が迫られている。(つづく)

沖縄の民意を足蹴にしながら、大阪の民意には追随する公明党の究極のご都合主義、変節を繰り返す政党は民意によって必ず淘汰される、大阪維新のこれから(6)、改憲派「3分の2」時代を迎えて(その158)

 5月12日(日)に続いて26日(日)朝刊の各紙(大阪本社版)はまたもや1面トップで、「大阪都構想」に関する公明党の方針転換(変節)を大々的に伝えた。公明党がこれまでの態度を一変(豹変)し、10年来反対してきた大阪維新の「大阪都構想」に賛成して維新と正式に合意を交わしたというのである。

 

維新・公明両党は25日合同記者会見を開き、佐藤茂樹・公明党大阪府本部代表は満面の笑みを浮かべて、「統一地方選で都構想を進めてほしいという当初の予想を上回る民意を感じた」と、これまでの反対姿勢から賛成の立場へ方針転換したことの理由をまことしやかに説明した。その上で賛成の条件として、①70歳以上が地下鉄を1回50円で利用できる敬老パスの維持など住民サービスを低下させない、②特別区再編コストを抑制する、③窓口サービスを低下させない、④各特別区へ児童相談所を設置する―の4条件を提示し、維新はこれを即座に受け入れたという(各紙、2019年5月26日)。

 

 一方、松井一郎・維新代表はゆとりに満ちた表情で、これもにこやかに「公明との激烈な戦いを展開したが選挙は終わった。政治家は選挙後の民意に沿った形で行政運営するのが責務だ。法定協議会で1年を目途に協定書(制度案)を作り上げ、速やかに可決して住民投票を実施することで合意した」と述べたという(同上)。

 

 政令指定都市・大阪市を解体して大阪府と一体化する「大阪都構想」は、大都市制度に関する戦後最大の改変であるにもかかわらず、公明党が敬老パスや窓口サービスの維持といった「子供だましの約束」で賛成に回ったことは、この政党の地方自治制度に対する認識レベルの(余りもの)低さと貧しさを物語っている。大阪市の権限や自治を大阪府知事に譲り渡すという一大事を、僅か「敬老パス」や「児童相談所」と引き替えに賛成するというのだから、これはかって世界大陸の侵略者に対して一片の贈り物と引き替えに自らの領土を譲り渡した(無知な)原住民の態度と変わらない。

 

 今回の公明党の変節はまた、公明党支持者や創価学会員などに対する侮辱・侮蔑でもある。公明党の支持者が幹部の言うまま行動するというこれまでの上意下達の慣習に照らして、今回もこの程度の「言い訳」で支持者が納得するとでも思っているのだろうか。高齢者には「敬老パス」、子どもには「児童相談所」というわけだが、しかし支持者を馬鹿にしてはいけない。公明党が10年来反対してきた「大阪都構想」に対してこれで支持者が納得するとでも思ったら大間違いだ。国政選挙で維新がわざわざ刺客を立てなくても、支持者や選挙民が公明党を見限るときが必ずやってくる。次期参院選や総選挙で、公明党が有権者から手痛いしっぺ返しを喰らうことを覚悟しておいた方がいい。

 

 これは自民党大阪府連も同じだが、大阪ダブル選挙や統一地方選の結果をどうみるかという大問題がある。自民党大阪府連は25日、府内選出の国会議員や府議、市議ら幹部が集まって都構想や参院選などへの対応を協議した。大阪ダブル選挙の敗北の責任を取って辞任した前任者に代わって新しく府連会長に就任した渡嘉敷氏は、今月11日の就任早々「民意を受けて住民投票に賛成したい」として、維新が主張する都構想住民投票に対して容認する考えを表明した。国会議員の間では、これまで首相官邸のエージェントと地元の意向を尊重するグループで「大阪都構想」に対する意見が分かれていたが、今回の選挙結果を受けて官邸派がイニシアティブを握り、それが渡嘉敷会長の態度表明になったというわけだ。25日の会合後、渡嘉敷会長は記者団に「府連として一枚岩になって方向性を決めるのが必要だ。大阪自民は維新の抵抗勢力と見られている。負けた方が道を譲るのがスジだ」と述べ、維新に歩み寄るべきだとの考えを改めて示した。

 

しかし上から言いなりの公明党市議団と違って、自民党大阪市議団の北野妙子幹事長は、都構想に反対する考えは「1ミリも変わらない」と改めて表明。「地方自治の精神から言っても、一つの市がなくなるのであれば、そこの議員が頑張るのは当たり前。市議団に一任いただきたい」と主張した。また公明党に対しては、「理解できない。支持者にどう説明するのか。支持母体のメンバーであっても、やはり人間。ついてきてくれるのか」と痛烈に批判した(朝日、2019年5月26日)。

 

自公両党が大阪ダブル選挙や統一地方選の「選挙結果=民意」を尊重するというのであれば、沖縄でこれまで行われてきた数多くの「選挙結果=民意」も尊重しなければならない。憲法で保障された「地方自治」の精神とはそういうものだろう。沖縄の民意は尊重しないが、大阪の民意は尊重するということでは(渡嘉敷会長が言うように)「スジが通らない」のではないか。

 

沖縄では、1996年の「米軍基地の整理・縮小と日米地位協定の見直しの賛否を問う県民投票」では89%が基地縮小と日米地位協定見直しに賛成、2014年の名護市長選、知事選、衆院選では辺野古基地建設に反対する候補が当選、2018年知事選では基地建設反対の玉城デニー候補が圧勝、2019年の「辺野古米軍基地建設のための埋立に対する賛否を問う県民投票」では玉城知事の39万7千票を上回る43万4千票が埋立反対に投じられるなど、いずれも圧倒的な〝民意〟が示されているのである。

 

 公明党の方針転換が伝えられた5月26日(日)、奇しくも堺市長選がはじまった(というよりは、この日に合わせて発表された)。堺市民が自民大阪府連や公明党の方針転換(変節)に巻き込まれるのか、それとも維新候補に鉄槌を下して堺市民の〝民意〟を示すのか、いまその帰趨が全国から注視されている。(つづく)