「京都96条の会」結成への方針とスケジュールがほぼ固まった、「左派」と「中道リベラル」の連携以外に改憲勢力への対抗軸はない(その5)、改憲勢力に如何に立ち向かうか(22)

 「京都96条の会」立ち上がりシンポ(8月6日)以降、準備世話人の間で結成に向けて話し合いを続けてきた。その結果、次のような方針とスケジュールがほぼ固まった。「96条の会の準備はその後どうなっているのか」、「入会するにはどうすればよいのか」など、関心のある方々のいろんな質問にお答えするためにも早くお知らせした方がよいと思い、(生煮えではあるが)その骨子を一応整理してみた。

 第1は、会の趣旨についてである。96条が立憲主義の根幹をなす条文であることから、96条を土台にして憲法全体を理解する場(京都憲法サロン)を設け、多様な専門家が話題提供して参加者との間で自由な意見交換を行い、討論の輪を社会に広げていこうというのがその趣旨である。もちろん参加者の数が限られる以上、大集会のような効果は期待できないが、密度の高い議論を通して参加者自身が憲法を語れるような場に育っていくことを願っている。いわば「憲法のアマ」である市民が「セミプロ」になっていくような場になっていけばよいと思うのである。

 第2は、会の活動についてである。9条の会は恒常的な運動組織を目指しているように思えるが、96条の会は「期間限定の組織」にしようということで意見が一致した。具体的にいえば、2016年夏の参議院選挙(あるいは衆参同時選挙)まで3年間にわたって活動し、その段階で成否はともあれ一応幕を閉じることにしようというものだ。これは明文改憲であれ解釈改憲であれこの3年間が勝負時である以上、全力を投入して改憲阻止のために戦うという意思を示すためだ(私自身もそれ以上はエネルギーが続かない)。

 第3は、会の性格についてである。96条や9条の改憲を阻止するためには国民の過半数の同意を得なければならない。しかしこれまでの世論調査によれば、条文を明記しなければ国民の過半数改憲に賛成であり、また直近のNHK世論調査では、集団的自衛権の行使や政治家の靖国神社参拝についても「賛成」が「反対」を上回っている。このように北朝鮮や中国・韓国との国際的緊張関係が国民の憲法意識に大きな変化を与えていることを考えれば、96条の会の結成が国民の間に「護憲ウイング」を広げていく契機になることが好ましい。

 このためには、96条の会結成の「呼びかけ人」が決定的に重要になる。その人が「呼びかけ人」になっているだけで会のイメージを即座に理解できるような人、これまで表向きにはあまり名前を出さなかった人、この種の運動にそれほど関心を示さなかった女性や若い人、日本人だけではなく在日外国人などなど、皮肉なことに私のような属性(男、高齢、いろんな運動に参加)とは真反対のフレッシュな「呼びかけ人」が96条の会にはふさわしいのだ。準備世話人の間では「アッというような人」を探そうと決めたが、もし心当たりの方があれば知らせてほしい(このブログのコメント欄に投稿していただければ、公表しないで参考にします)。

 第4は、結成総会の日取りである。いまのところ11月16日(土)の午後あたり、会場は市内のどこかの大学(出来るだけ交通の便が良いところ)を予定している。結成総会のスケジュールは、日本を代表するような学者に広い意味での憲法論の基調講演(時間はたっぷり)を依頼し、続いて3年間の活動計画の提案、そして賛同者や入会の案内などをめぐって議論交わす予定だ。

 3年間の活動計画と言っても、内容はそれほど多彩なものではない。年6回、3年で計18回の「京都憲法サロン」を場所、開催日を定例化して開催するだけだ。できればインターネット中継もしたい。もちろんその時々情勢に応じて臨時番組を開催することもある。講師は96条の会サポータークラブをつくって各分野の専門家に登録していただき、その中から適当なテーマと講師を予め選んで1年分のスケジュールを決める。結成総会で2014年のスケジュール表をお渡しするつもりだが、果たしてそれまでに決められるかどうか少し心配だ。

 会の活動に資金は必要だが、会費は取らない。憲法サロンの参加者にその都度参加費(資料代)をいただき、運営費に充てる。事務局や講師はすべてボランティアだ。省力・省コスト・省エネに徹して3年間頑張る。そして力尽きた頃に活動を終える。ざっとこんなイメージだ。