堺市長選の勝利は、橋下維新の消滅に至る「マイルストーン」となり、“2015年大阪ダブル選挙”はその終着点になるだろう、堺市長選の分析(その33、最終回)、改憲勢力に如何に立ち向かうか(63)

 今年の8月中旬から書き始めた堺市長選に関する私のブログは、関連する『リベラル21』(在東京ジャーナリスト集団の同人ブログ)の再録が5回、9月になってから連載し始めた「堺市長選分析シリーズ」が33回、今日で合わせて38回を数えた。通常は週1回程度のスローペースで書いているので、1日平均のアクセス数は200件、多くても300件を超えることはなかった。ところが9月に入ってからはアクセス数が一挙に1日平均2千件に跳ね上がり、ピーク時には5千件を越えた。堺市長選に対する全国の注目度がいかに高かったかを示すものだ。

 こんな現象をどう見るか、知り合いのジャーナリストの何人かに聞いて見たところ、ブログランキングの上位を占める常連ならともかく、一介の個人ブログがこれだけの件数をカウントすることは珍しいのだそうだ。選挙期間及びその前後に集中的に書いたことが効果的だったのかもしれない。キーワード索引で「堺市長選」と書くと私のブログが最初の頁に出てくるので、多くの人の目に留まったのだろう。それにしても堺市民でもない者がなにがしら市長選に参加することができ、それなりの役割を果たせたことは有意義だった。そして、現職候補が勝利したことが何よりも嬉しい。

 このブログにはコメント欄があり、地名の誤りの指摘をはじめとして内容への賛否の意見など数多くのコメントを堺市民はもとより全国の方々からいただいた。一人ひとりのコメントに対して返事をしなければと思ったが、却って冗長になる場合もあり、失礼をすることが多かった。この場をお借りして改めてお詫びを申し上げたい。

 この間の全体的印象を語るとすれば、いったいどんなことが思い浮かぶであろうか。言いたいことは山ほどあるが、一言でいえば、堺市長選の勝利は橋下維新の消滅に至る歴史的な「マイルストーン」(一里塚)であり、橋下維新の政治生命に終止符を打つ“2015年大阪ダブル選挙”の前哨戦であったことだ。つまり堺市長選の勝利なくして2年後の大阪ダブル選挙の勝利はないのであり、堺市長選が勝利したからこそ、次の大阪ダブル選挙で橋下維新に止めを刺す展望が開けたのである。

 橋下氏と石原氏が共同代表をつとめる「日本維新の会」と地域政党である「大阪維新の会」は“入れ子構造”になっている。表層が「日本維新の会」で、中身が「大阪維新の会」の二重構造なのだ。饅頭(まんじゅう)でいえば、日本維新の会が「皮」、大阪維新の会が「アンコ」である。アンコのない饅頭は「まんじゅう」と言わないから、大阪維新の会が中核であることは間違いない。

 今年夏の参院選で「日本維新の会」は大きく票を減らして勢いを削がれた。饅頭の「皮」がぼこぼこに剥がれたのだ。これが維新消滅に至る「第1フェーズ=緒戦」である。しかし「アンコ」はまだ残っている。だからこの部分を取り除かなければ、橋下維新に止めを刺したことにならない。その「第2フェーズ」が堺市長選だった。そして最終決戦の場は、2年後の“大阪ダブル選挙”(大阪府知事大阪市長の同時選挙)である。言い換えれば、堺市長選は橋下維新消滅に至る「第2フェーズ=前哨戦」にあたり、大阪ダブル選挙は「第3フェーズ=最終決戦」に位置づけられるというわけだ。

 堺市長選に勝利して大阪ダブル選挙への展望が開け、橋下維新消滅への道筋がはっきりと見えるようになった。堺市長選の勝利は「ハシズム専制政治」打倒を願う人たちの道標となり、「この道」を進めば、間違いなく大阪府大阪市を市民・住民の手に取り戻せる方向が示されたのである。その意味でも堺市長選は、大阪はもとより日本全体の政治にとっての“歴史的分岐点”であり、その勝利は日本国民全体に進むべき方向を指し示したものと言える。

 最近会った(元)大阪市幹部の話によれば、大阪市役所内の空気は堺市長選を契機にして一変したのだという。堺市長選の勝利を願っていたのはひとり堺市民だけではなく、むしろ橋下市政の圧政下にある大阪市役所職員の方が多かったのかもしれない。大阪市職員たちは「その日=Xデー」に備えて、いまは「健康」に気を付けていろんな勉強会を開いているのだそうだ。すでに「ポスト橋下」に向かっての動きが大阪市役所のなかでは本格的に始まっているのであり、維新市議会議長の不信任問題などはその「氷山の一角」にすぎない。

 「ポスト橋下」の動きをウォッチし、その意味を分析することには興味を惹かれる。しかし私は新聞記者でもニュースキャスターでもないので、そろそろこの辺で「堺市長選シリーズ」を閉じることも一つの選択だと思う。それに、今年の春以降一時休止していた東日本大震災の復興調査も再開しなければならない。また11月16日(土)には、96条改憲阻止のための学習運動組織である「京都96条の会」も発足する。呼びかけ人の1人としての責任の重大さを思えば、これも気を抜くことができない。

 そんな事情が重なったこともあって、今日以降、私のブログは「週1回」の通常ベースに戻したい。とりあげるテーマも堺市長選関係だけではなく、いろんなトピックスを取り上げて論じたい。9月からこの間、もし毎日読んでいただいた方があれば、ここ当分は間延びすることをお許しいただきたい。その代わり休んでいた『リベラル21』の方は再開して、橋下維新の話題を中心に引き続き掲載するつもりでいる。ときどき開いていただければ幸いである。(1週間ほどしてから再開します)。