2016年2月14日の「野党共闘を求める(兵庫)市民・政党討論集会」の席上で、「中央での野党間協議が進んでいないので協議には応じられない」「次回からは討論集会に参加しない」と野党協力を拒否した日本共産党兵庫県委員会の頑迷な態度は参加者の激しい怒りと嘲笑を買った、2016年参院選(衆参ダブル選)を迎えて(その11)

 京都市長選では野党協力など「どこ吹く風」だった。おまけに宮崎自民党衆院議員(京都3区選出)の「不適切行為」による議員辞職もあって、京都では4月24日に行われる衆院補欠選挙を前に目下てんやわんやの大騒ぎだ。同じ日に補欠選挙が行われる北海道5区では野党協力の話が進んでいるらしいが、京都3区では各党入り乱れての混戦になると予想されている。選挙情勢は自民党が候補を立てるか(立てられるか)どうか、おおさか維新が京都に乗り込んでくるかによって大きく変わるが、いずれにしても自民党にとっては苦しい戦いになることは間違いない。「裏切られた」「サイテー!」「失望した」といった声がとりわけ女性の中では大きいからだ。

こんな京都とは対照的に、兵庫県では昨年12月以来地道な努力が重ねられ、4回にわたる準備会合を経て、昨日2月14日に「野党協力を求める市民・政党討論集会(第2弾)」と「安保関連法の廃止を目指す市民選挙・連帯兵庫」(愛称:連帯兵庫みなせん)設立総会が神戸市婦人会館で開催された。市民・政党討論集会には、安保法案に反対する6野党(民主党共産党社民党、生活の党、新社会党緑の党兵庫県代表者)が勢揃いし、各党が野党選挙協力に対する態度と方針を述べ、参加者が意見や質問をするという形で進められた。6野党が勢揃いするこのような場は(兵庫県では)かって一度もなかっただけに、会場には開始1時間前から参加者が集まりははじめ、開始定刻には補助椅子を用意するまでの満員状態となった。

会場は百数十人の参加者の熱気がみなぎり、それに応えて各党が前向きの積極的な姿勢を次々と示すなかで、際立ったのは共産党(県委員会書記長)の異様な態度だった。
参院選挙での野党選挙は1人区での話だ(兵庫は3人区だから必要ない)」
参院選挙で改憲阻止のための3分の1以上議席確保にはこだわらない、改憲反対勢力が3分の1以上の議席を取らなければ日本が一挙にファシズム化するといった情勢分析には組みしない」
「大事なのは安保法制廃止2000万人署名を広げて国民世論を高め、国会を包囲する政治情勢を作り出すことだ」
「中央での野党間協議が開かれていない段階で、地方での野党選挙協力の話には応じられない」といった独自の見解を滔々と披露したのである。

加えて質疑応答の中では、次回の市民と政党が話し合う会議には「参加しない」と通知したファックス文書までわざわざ示して不参加を強調する始末、会場は呆気にとられると同時に激しい怒りに包まれ、やがては嘲笑に変わった。市民と野党各党が一堂に会して改憲を阻止するための討論集会に、ことさら水をかけるような発言を平気で繰り返すその「並外れた度神経」に会場はどよめき、かつ呆れたのである。

「中央」「中央」一点張りで地元の政治動向や市民の呼び掛けには一瞥だにしない、「地方」の意見を「中央」に突き上げる上げることなど考えもしない、ただひたすら「中央」の指示・命令に従うだけで自分の頭では判断しない(できない)――、そんな化石のような共産党兵庫県委員会書記長の姿を目の当たりにして、会場参加者は(私も含めて)野党選挙協力がいかに困難な課題であるかを改めて思い知ったというわけだ。

しかしジャーナリスト出身の司会進行者はこんな事態を予想していたのか手慣れたもので、「これが第一歩」「これからが勝負」と会場を引き締め、7月までのハードなスケジュールを市民主導で乗り切っていこうと呼びかけた。またその母体になる「兵庫連帯みなせん」の設立も満場の拍手で承認され、世話人を代表して挨拶された元裁判官のスピーチは本当に感動的だった。日本の平和が脅かされているまさにこの瞬間、市民と政党の共同の力で立憲主義を守り、改憲を阻止するために手を取り合って立ち上がろうと呼びかけられ、会場参加者は満場の拍手でこれに応えたのである。

衆参ダブル選も予想される今後の事態は極めて流動的だ。4月補欠選挙が「負け戦(いくさ)」となり、それが参院選挙への否定的影響を及ぼすことを懸念する安倍政権は、補欠選挙に合わせて一挙に衆院総選挙を仕掛けるのではないかとの噂も流れている。またこのままでいけば衆参ダブル選挙は避けられず、野党選挙協力衆院も含めて考えないと対応できないとの声も聞かれる。討論集会での各党発言もその可能性とその時に求められる協力の在り方に集中したが、共産党県委員会書記長は情勢分析についての見解は一切示さず、参院選での選挙協力について否定的な意見を述べただけだった。おそらく「中央」の情勢判断を待ってその通りのコピーを言うのだろう。

「連帯兵庫みなせん」の市民・政党討論集会は、野党協力の困難さ改めて知る得難い機会となった。とりわけ共産党の硬直した姿勢と能力の劣化が印象的だった。しかし、市民は落胆していない。政党に頼るの止めて自分たちが前に進み、その動きを無視しては政党が「取り残される」ような状況を生み出すことなしには、この事態を打開できないと覚悟している。2月23日には選出された世話人の第1回の会合が持たれる。討論集会の総括もかねて今後の新しい方針が提起されるはずだ。私も及ばずながらその1員として努力をしたい。(つづく)