安倍首相はいつまで「森友疑惑」「加計疑惑」を隠し通せると思っているのか、安倍政権による国政の私物化が国家の統治機構を破壊している(1)、国民世論は「脱安倍」へと着実に向かい始めた(28)、改憲派「3分の2」時代を迎えて(その59)

5月に入ってから安倍政権をめぐる「森友疑惑」「加計疑惑」が急展開を遂げている。5月上旬は4月に引き続き籠池氏と昭恵夫人の親密な関係、籠池氏と財務省の交渉過程などが動かぬ証拠(音声テープ)で明らかになり、各紙は「森友疑惑」の全容解明に総力を挙げた。朝日5月13日の「森友疑惑総特集」はその到達点と言える力作だ。しかし、「森友疑惑」に関してはその後も新しい証拠が次から次へと暴露され、安倍首相と財務省は「記憶にない」「記録は破棄した」「印象操作だ」との空虚な言葉をオウム返しで繰り返すだけだ。

しかし、朝日の5月17日「加計疑惑」スクープ記事で事態は大きく展開する。「森友疑惑」に勝るとも劣らない「加計疑惑」が文科省内部文書の暴露によって急浮上し、安倍首相による国政私物化の実態が国民の前に大きくクローズアップされることになった。大事件でさえが驚くほど速く忘れられていく昨今、安倍政権の「構造疑惑」を系統的に追求するためには、両疑惑の経緯を改めて振りか返ってみる必要がある。以下、何回かに分けて私のスクラップファイルの中から主な記事をセレクトし(見出しだけ)、その経緯を追ってみよう。第1回は「森友疑惑」に関する経緯である。

○5月5日
【毎日】「『森友』工事 全単価1.5倍増、国提出契約書 23億円書き換え時」「『森友』設計業者ら聴取、大阪地検 補助金不正疑い立憲視野」

○5月6日
【毎日】「時の在りか、家族に脅かされる政治」

○5月7日
【朝日】「国会論戦 首相の答弁は、あすから集中審議、『森友』問題 『新たなごみ』いつ把握? 『特例』 財務省の忖度は?」

○5月9日
【朝日】「面会の音声 財務省認める、森友問題 資料の校名黒塗り、籠池氏一問一答」『写真あるんですか。聞かれたから見せた』」「『昭恵氏との写真、14年提示』、籠池氏証言 『財務局に求められ』」

○5月10日
【朝日】「籠池氏と政府 食い違い、国有地巡る問い合わせ なぜ、『昭恵氏が夫人付職員に指示』、『職員個人として丁寧に対応』、『法令に基づき対応』理財局長、昭恵氏写真削除 自民議員が要請 森友学園HPから」

○5月11日
【朝日】「森友資料 ほぼ黒塗り・1年未満で廃棄、国の文書管理 正しい? 識者ら批判、規則変えるべき、守るものありき」

○5月12日
【朝日】「社説 森友学園問題 昭恵氏に聞きたいこと」「昭恵氏『私的活動』に同行職員、出張の命令書作られず」「森友保育園の事業 停止命令手続きへ 、7月1日付」「森友の『理念』共鳴したが..小学校建設 寄付した人々は」

○5月13日
【朝日】「森友学園の国有地取得をめぐる経緯と主な出来事、小学校の認可と土地取得要望、借地契約をめぐる動き、『ごみ発見』から売却へ、問題発覚後」「森友問題 深まる謎、8億1900万円なぜ値引き、官僚の忖度 あったのか、疑惑 次から次へ、面会記録の開示 政府は後ろ向き、ブラックボックス 政治のど真ん中に」「検査院 解明できるか、森友への土地売却経緯・価格の妥当性、文書『廃棄』どう判断」

○5月14日
【毎日】「公文書廃棄に抜け道、1年未満 部署判断で処分可能、私的メモ 情報公開対象ならず、特定秘密も不透明、『秘密の概要 明示を』」

○5月17日
【朝日】「森友への国有地売却額 前提に疑問符、『3メートル以深に廃棄物ない』、籠池氏、業者メール開示」「大阪府、籠池氏を告訴へ、幼稚園の補助金詐取容疑」
【日経】「大阪府、籠池氏告訴へ、幼稚園補助金詐取の疑い、近く返還請求、一部教員、実態なし」

○5月22日
【朝日】「財務局、鑑定5億円減要請、森友問題 地盤改良、高く想定、鑑定士『合理的でない』」「鑑定士『5億円は引けない』、低層なのに 国『高層前提で』、森友国有地売却」

大阪の知人からのニュースによれば、籠池逮捕の「Xデー」が迫っているそうだ。籠池氏の方は今や絶望的ともいえる状況に追い込まれており、「死なばもろとも」とばかり捨て身の反撃を用意しているのだという。「森友疑惑」は安倍政権が徹底的に白を切り通すかぎり真相は解明されず、「疑惑まみれ」の迷宮入りになる可能性が大きい。しかし、ことはそれで終わらない。この状態は泥仕合となって安倍政権を「ダークイメージ」の淵に陥れ、安倍政権にとっては手痛いボディブローとして跳ね返ることになる。いずれにしても安倍首相夫妻は自ら招いた失態に手足をとられ、「森友疑惑」という泥沼から抜け出すことはできないだろう。(つづく)