中国東北部ハルビン市731部隊遺跡訪問記

731部隊建設の工事関係資料は見つからなかった、中国東北部ハルビン市731部隊遺跡訪問記(最終回)

731部隊関係出版物の中から浮かび上がった幾つかの建設会社を特定するため、各企業の社史や工事記録を調べてみた。第1グループは、1938(昭和13)年末に731部隊の大工事入札に参加したとされる大倉組、清水組、五十嵐組、松村組、間組のなかで、その…

731部隊施設を施工した日本の建設会社を特定できるか、中国東北部ハルビン市731部隊遺跡訪問記(5)

731部隊の全容が明らかになった決定的な資料は、①森村・下里両氏が入手した「マル秘・関東軍防疫給水部本部満州第七三一部隊要図」(元隊員たちが作成し、長年にわたって秘匿してきた部隊要図、『悪魔の飽食』、光文社、1981年所収)、②第七三一部隊航空…

保存・修復・再生プロセスを可視化した731部隊遺跡跡地の世界遺産登録の可能性、中国東北部ハルビン市731部隊遺跡訪問記(4)

私自身は、731部隊遺跡跡地の保存・利用計画をめぐるこれまでの経緯を必ずしも詳しくフォローしているわけではない。したがって中国国内での動きやこれを支援する日本の平和運動諸団体の意見を一応参考にしながらも、ここでは主として私自身の個人的感想…

世界遺産として731部隊遺跡跡地をどう位置付けるか、中国東北部ハルビン市731部隊遺跡訪問記(3)

731陳列館には充実した公開資料室がある。731部隊に関する各種の原資料、731部隊について書かれた中国・日本などの出版物や文献資料、陳列館や研究所から発行された頒布用の書籍、冊子、写真集、絵葉書、バッジ類などが所狭しと並んでいる。日本か…

731部隊遺跡跡地を取り巻く昨今の周辺市街化状況と保存整備計画の課題、中国東北部ハルビン市731部隊遺跡訪問記(2)

戦医研の調査日程は、中国侵略日本軍第731部隊罪証陳列館(以下、731陳列館という)とハルビン市社会科学院731研究所(以下、731研究所という)の協力の下に組まれた。2004年以来、すでに8回に及ぶ訪問調査を通して両国の共同研究も各方面…

閑話休題、中国東北部ハルビン市731部隊遺跡訪問記(1)

9月18日は、80年前(1931年)に満州事変の発端となった柳条湖事件が発生した日だ。関東軍が中国東北部の奉天(現・瀋陽)近郊の柳条湖で満鉄線路を爆破し、これを中国側の仕業だとして侵略を開始した。その日から、満州事変は日中戦争、アジア太平…