橋下市長、この際、出直し市長選を断念して辞職しませんか、各紙の世論調査でも大阪出直し市長選「反対」の“民意”は明らかではありませんか、大阪出直し市長選をめぐって(その4)

 今朝2014年2月27日のテレビニュースによると、大阪出直し市長選が橋下氏の独り相撲(各紙予想では無投票当選)になるかと思いきや、市選挙管理委員会の説明会にはなんと13もの陣営が出席したのだという。私のブログにも大阪府外の方からかねがね「自分は泡沫候補として絶対に立候補する」とのコメント(決意表明)が寄せられていたので相当数の立候補があることを予想していたが、ここまでの数になるとは思わなかった。でも「冷やかし」に説明会に来ただけの人もいるだろうから、実際の立候補者数はもう少し減るかもしれない。

 おそらく橋下氏はかくなる「泡沫候補者群」を相手にして戦うことになるのであろうが、御本人はいったいどんな心境でこの事態に臨もうとしているのかーーー、神ならぬ凡人の私は彼の腹の底を覗いてみたい野次馬根性を抑えることができない。過去の大阪市長選はもとより他の政令指定都市においても、このような異常きわまる市長選は「空前にして絶後」になるだろうと思うからだ。

 しかし、すでに始まっている維新のタウンミーティングで橋下氏の表情を見る限り、それらしき心境を一切窺い知ることはできない。例の調子で喋りまくり、興味本位で来た聴衆を沸かせることに集中している。でも、きっと胸の底では底知れぬ空しさと激しい挫折感に苛まされているのではないか。彼とてこれだけの世論包囲網のなかで選挙戦を戦った経験がないうえ、世論に歯向かうことがどれだけ大変なことか、例の慰安婦発言問題で嫌というほど思い知らされているからだ。

 橋下氏はいつも「民意」を振りかざすことで知られる。選挙で選ばれたことがすべてであり、自分は「民意」を託されたたった一人の首長だ、だから市民や職員はもとより市会議員も自分の言うことに従ってもらいたい、ざっとこういう態度なのだ。つまり橋下氏にとっては織田信長よろしく「市長=上御一人」でなければならないのであり、その他すべては自分の配下でなければならない(我慢できない)というわけである。

 だがこうして我慢ができず、「ブチ切れ」状態で打って出た橋下氏の出直し市長選を世論はいったいどう見ているのだろうか。そこには「民意」を振りかざす橋下氏にとっては「見たくない数字」が並んでいる。大阪市内の有権者を対象にした直近の読売、朝日、共同通信、毎日の世論調査によれば、橋下氏がことあるごとに口にする「民意」の所在はすでに出直し市長選の前にして明らかなのだ。それは「出直し市長選は評価しない、反対だ」、「法定協議会の議論にはもっと時間をかけるべきだ」、「大阪都構想に関する橋下氏の日程にはこだわらない」というもので、橋下氏の言う“究極の民主主義”を圧倒的に否定するものになっている。またこれらの世論調査のなかで、大阪都構想に対する「賛否」の差が縮まり(朝日は逆転)、橋下氏の「支持・不支持」の比率が次第に接近している傾向も読み取れる。以下、調査順に各紙の世論調査結果を示そう。

(1)読売新聞緊急世論調査(2月4〜5日実施、6日公表)
 ・出直し市長選を「評価する」31%、「評価しない」61%
 ・評価しない理由(複数回答)、「多額の費用をかけるのは税金の無駄遣い」89%、「任期の途中で辞職するのは無責任」78%、「議会ともっと話し合うべき」78%
 ・法定協の議論は「(市長提案)で進めるべきだ」15%、「もっと時間をかけて他の案も議論すべきだ」70%
 ・大阪都構想に「賛成」52%、「反対」39%
 ・橋下氏を「支持する」50%、「支持しない」44%

(2)朝日新聞朝日放送世論調査(2月8〜9日実施、11日公表)
 ・出直し市長選に「賛成」34%、「反対」56%
 ・大阪都構想の議論は「(市長提案の)日程に沿って進めるべきだ」18%、「日程にこだわる必要はない」71%
 ・当選すれば法定協議会から反対会派を外すべきとの橋下氏の主張に「賛成」18%、「反対」63%
 ・大阪都構想に「賛成」36%、「反対」41%
 ・橋下氏を「支持する」46%、「支持しない」41%

(3)共同通信世論調査(2月15〜16日実施、17日公表)
 ・出直し市長選を「評価する」27%、「評価しない」64%
 ・評価しない理由、「多額のお金がかかる」31%、「反対議員とも議論すべきだ」30%、「政治姿勢が評価できない」21%、「都構想だけが大阪市政の課題ではない」16%
 ・大阪都構想の議論は「橋下氏の考える日程で進めるべきだ」21%、「来年春にこだわらずに時間をかけるべきだ」73%
 ・当選すれば法定協議会から反対会派を外すべきとの橋下氏の主張に「賛成」29%、「反対」62%
 ・大阪都構想に「賛成」39%、「反対」40%
 ・橋下氏を「支持する」48%、「支持しない」42%

(4)毎日新聞毎日放送世論調査(2月22〜23日実施、24日公表)
 ・出直し市長選に「賛成」29%、「反対」63%
 ・大阪都構想を橋下市長の任期が切れる来年末に「実現させるべきだ」18%、「期限を設けるべきではない」66%
 ・区割り案を「今すぐ一つに絞るべきだ」12%、「さらに議論を重ねるべきだ」55%
 ・法定協議会から構想に反対する政党を「外すべきだ」11%、「外すべきでない」58%
 ・大阪都構想に「賛成」44%、「反対」43%
 ・橋下氏を「支持する」48%、「支持しない」44%

 これら世論調査の結果を見る限り、もはや民意の所在がどこにあるかは余りにも明らかだ。次回ではもう少し詳しくその内容を検討したいが、橋下氏はすでに選挙以前の段階で敗北していることを認めたうえで出直し市長選の出馬を断念し、この際きっぱりと政界から退いてはどうか。そうすれば大阪市民の間では「拍手大喝采」となって、橋下氏は「最後の花道」を飾れると思うのだ。(つづく)