戦後最悪の改憲政権なのに安倍内閣の支持率はなぜ高いのか、“1強多弱=自民ダントツ1位”の政治構造を分析する、維新と野党再編の行方をめぐって(その3)

 前回、この1年間で国民の護憲意識が飛躍的に高まっていることを述べた。なのに、戦後最悪の改憲政権である安倍内閣および自民党への支持率が(低下しつつあるとはいえ)依然として高レベルにあるのはなぜか。毎日、日経、朝日、読売各紙の最新の世論調査結果を1年前と比較しながら考えてみたい。

毎日新聞(2013年4月20〜21日→2014年4月19〜20日
 安倍内閣支持66%→49%、不支持17%→33%
 自民党支持39%→32%、支持政党なし32%→41%
自民党支持+支持政党なし)71%→73%

日経新聞(2013年4月19〜21日→2014年4月18〜20日
 安倍内閣支持76%→56%、不支持16%→32%
 自民党支持49%→44%、支持政党なし30%→36%
自民党支持+支持政党なし)79%→80%

朝日新聞(2013年3月16〜17日→2014年3月15〜16日)
 安倍内閣支持65%→50%、不支持17%→29%
 自民党支持44%→37%、支持政党なし35%→42%
自民党支持+支持政党なし)80%→79%

○読売新聞(2013年3月15〜17日→2014年3月14〜16日)
 安倍内閣支持72%→59%、不支持20%→31%
 自民党支持45%→40%、支持政党なし38%→45%
自民党支持+支持政党なし)83%→85%

 まず全体として言えることは、各紙とも(幅はあるが)1年前に比べて安倍内閣支持率および自民党支持率が軒並み下がっていることだ。しかし下がったとはいえ、内閣支持率は49%〜59%の高水準を依然として維持しており、自民党支持率も32%〜44%の「ダントツ1位」を保っていることには変わりない。

 加えて注目すべきは、自民党支持率と「支持政党なし」の合計が各紙ともこの1年間ほとんど変わっていないことである。毎日71%→73%、朝日80%→79%、日経79%→80%、読売83%→85%という数字が示すように、自民党支持率が低下してもその分は「支持政党なし」に流れているだけであり、民主党共産党はもとより「第3極」にも流れていない。このことは、“1強多弱”といわれる政治構造が(きわめて)安定した状態にあることを示している。

 私は、本ブログのタイトルを「戦後最悪の改憲政権なのに、安倍内閣の支持率はなぜ高いのか」としたが、このことは「安倍内閣改憲政権」という側面を重視し、「安倍内閣自民党政権」という性格を軽視するものだった(と反省している)。なぜなら、過去のどのような時代にもまして自民党支持率がこれほど高いのはなぜかという問題を解かずして、安倍内閣高支持率の問題は解けないと思うからだ。

 安倍政権の特異性については、これまで護憲勢力の側から有り余るほどの分析が行われてきた。かく言う私もその一員であり、安倍内閣ナチス政権にも匹敵する極右政権とみなして警戒してきた(している)。その主たる論調は今後逐次紹介していこうと思っているが、今回、安倍政権登場後の政党支持率の推移を調べてみて、その前提である「1強多弱=自民ダントツ1位」の構造分析の重要性を再認識した。

 言い換えれば、現在の政治情勢を正確に把握するには安倍首相個人や安倍内閣を分析するだけでは不十分であり、それを支えている「自民1強体制」の基盤や背景を解明することが不可欠だと思うのである。もとより私は政治学者ではないのでお門違いは免れないが、それでも素人談義を積み重ねることは決して無駄ではないと考える。なぜなら「自民1強体制」の分析は革新勢力にとっては避けて通れない課題であり、当面の護憲運動の展開にとっても、また国民運動の発展にとっても最も基本的な課題だと思うからだ。

 結論的に言えば、自民党支持率の低下が革新政党その他の支持率上昇に向かわず「支持政党なし」に流れているのは、国民の7割から8割の人たちが革新政党その他を「頼むにあらず」とみているからではないか。この国民多数の政治意識のあり様に目を向けないで、百年一日のごとく「何とか対決!」といって政治スローガンを叫んでいるだけでは展望が開けない。単なる自己満足の世界に浸っているだけでは、「自民1強体制」を打破する道を開けるわけがないと思うのだ。

 これを解く鍵はいったいどこにあるのだろうか。私はそれがこの1年間の国民の飛躍的な護憲意識の高まりのなかにあると見ている。一見矛盾する「自民1強体制」と国民護憲意識の並存状態のなかにこそ、次の展望を開く鍵が潜んでいる。この鍵の穴を読者の方々と一緒に見つけていきたい。(つづく)