維新・みんなは夏の参院選まで改憲勢力を維持できるか、「憲法改正」に関するNHK世論調査結果(2013年4月8日)は衝撃的だった(その2)、改憲勢力に如何に立ち向かうか(2)

 前回のブログで、国民の憲法意識が改憲側に大きく傾いた要因のひとつとして、改憲勢力の主導部隊(自民・維新・みんな)が総選挙で3/4の議席を占めたことを挙げた。この数字はまさに驚異的であり、脅威的でもある。くわえて維新とみんなの間では、夏の参院選に向かって選挙協力が着々と進められており、1人選挙区での候補者一本化も進んでいるといわれる。このままでいけば、参院においてもこれら3党で3/4の議席をとりかねない情勢だ。

 維新の共同代表・石原慎太郎氏などは、過日の党首討論会で阿部首相に面と向かって「公明党改憲の足手まといになるから手を切れ」とまで言う始末、まるで自民・維新・みんなの「改憲連立政権」が既成事実化しているような口ぶりだ。石原氏の後ろの席でこの発言を聞いていた公明党山口代表はいったいどんな顔をしていたのだろう。テレビ中継を見逃したのはくれぐれも残念だ。

 だが、有力な反論もある。それは最近の維新・みんなにかってのような勢いが感じられないことだ。4月8日のNHK世論調査政党支持率でも3か月前に比べて、維新は6.5%から2.1%、みんなは3.7%から1.3%へ各々1/3近い数字に急降下している。その他の政党は多少減ってはいるもののほぼ横ばい状態だから、維新とみんなの支持率の低下がとにかく目立つのである。

 朝日新聞世論調査(4月16日)ではどうか。ここでも3か月前に比べて維新の支持率は6%から2%へ、みんなは3%から2%へと低下している。この結果はNHKともほぼ見合っているから、両党の支持率低下傾向は間違いなく続いているといってよい。

 問題は「いま投票するとしたらどの政党か」(仮に「期待投票率」という)の結果だろう。支持率が比較的固いのに対して、こちらの方は瞬間風速的に大きく変動するのでとりわけその動向が気になる。また組織政党の場合は両者の差がそれほどないのに対して、維新・みんなのような「世論頼み政党」(「風評政党」といってもよい)の場合はその差が大きいのが特徴だ。維新・みんなにとっては「期待投票率」が生命線なのである。

 3か月前(1月)と現在(4月)の両党の支持率と期待投票率を比較すると、維新6%・16%→2%・10%、みんな3%・7%→2%・6%となって、いずれもが低下傾向にある。この傾向が夏の参院選までこれからも続くとなると、昨年の総選挙で獲得した維新20%、みんな9%の比例得票率を維持することは至難の業となる。また落ち目のときは、政党間の選挙協力が功を奏しないこともよく知られている。維新・みんなが参院選の1人選挙区で統一候補を立てたとしても、総選挙得票数の「足し算」には遠く及ばないかもしれない。

 くわえて維新にとって大打撃となったのは、4月14日投票の伊丹、宝塚両市長選で維新公認候補が大敗したことだろう。「大阪都=関西州」を目指す維新戦略からすれば、兵庫県奈良県はおろか近畿各県の選挙に打って出て、大阪都構想に冷ややかな首長たちに「勝負を挑む」のは当然のことだ。だが、橋下・松井コンビの選挙戦が兵庫県下では全く通じないことが明らかになった。京都でも維新公認候補が首長選挙に出て、橋下・松井コンビが応援演説に駆けつけることになれば、同じ結果になること請け合いだ。橋下・松井両氏は、大阪から一歩外に出ればもはや「ただの人」なのである。

 伊丹・宝塚両市長選で維新候補が大敗したことは、単に一地方の首長選挙にはとどまらない政治的意味を持っている。大阪の府県境を越えて打って出た維新が参院選直前の首長選挙で大敗したことは、全国に対して維新が大阪以外では通用しない中身のない「風評政党」であることを自ら発信したことになる。この“負の連鎖反応”は6月の東京都議選においては一層明らかになるであろうし、それが夏の参院選に直結することは確実だろう。そうなると変わり身の早い(目先がきく)みんなは、維新との選挙協力を解消するといった不意打ちに出るかもしれない。「政治は一寸先が闇」なのである。(つづく)