選挙に突入したら、「大阪都構想=堺市植民地化構想」の本質を暴露し、政令指定都市・堺を死守して“自立したまちづくり”を呼びかけよう、堺市長選の分析(その7)、改憲勢力に如何に立ち向かうか(37)

 竹山マニフェストの骨子は、橋下維新の大阪都構想による堺の解体を阻止し、「堺の自治を守る」というものだ。このことは地方自治の精神にもとづくオーソドックスな主張であり、まともな相手なら反論に窮するはずである。ところが、橋下維新はこともあろうに堺市の発展のためには大阪都構想が役立つ(大阪都構想に参加しないと堺は衰退する!)と言い張るのである。この「すれちがい」を説得力(そして迫力)のある論理で突破しなければ、橋下維新を打ち負かすことはできない。

 橋下維新の宣伝力(デマゴギ―)の源泉は、橋下氏自身の巧みなコミュニケーション力(表現力)にある。彼は、物事の本質を巧みな比喩で逸らし、いつの間にか自分の主張に聴衆を巻き込んでいくことを得意業とする。これは彼の選挙演説やテレビ討論を聞いた人なら誰しも認めるところだが、真面目な論者ほど橋下氏に論点を逸らされて翻弄される確率が高い。要するに、橋下維新に効果的に対抗するには、“真面目一本槍”では通用しないのである。

 竹山陣営はこれまでオーソドックスな主張を愚直に貫いてきた。これは大義を重んじる首長選挙での王道を踏まえたものだ。またそれ以前から、大阪府民・大阪市民は橋下維新と真正面から果敢に闘ってきた。その成果は、読売新聞が9月5〜7日に実施したRDD方式による世論調査大阪府2480世帯の中から1461人の有権者が回答、回答率59%、9月8日公表)でも以下のように検証されている。

(1)大阪都構想への賛否については、「府と大阪、堺両市を統合再編すべきだ」28%、「府と大阪市を統合再編すべきだ」24%、「必要ない」39%だった。前回調査(2012年6月)では、「どちらかといえば」を含めて賛成61%、「どちらかといえば」を含めて反対28%だから、「賛成」が61%→52%、「反対」が28%→39%へと賛成が減り反対が増えてきている。

(2)とりわけ大阪都構想堺市を含めることについては、肯定的回答28%、否定的回答63%(堺市内60%)となり、府民および堺市民の大半は「必要ない」と考えている。大阪都構想への堺市の参加については維新支持者でも36%が否定的であり、この比率は橋下維新にとっては衝撃的な数字だろう。

(3)府内で「統合再編すべき」とした人(52%)の賛成理由(2つまで)は、「府と市の二重行政の解消につながる」78%、「大阪地域の発展につながる」37%、「大阪のトップは一人でいい」24%だった。一方、「統合再編の必要ない」とした人(39%)の反対理由(2つまで)は、「住民サービスの低下につながる」45%、「住民参加の自治が衰退する」34%が多く、堺市内では「橋下大阪市長が推進する構想だから」が反対した人の4割を超えた。

(4)橋下市長の支持率は前回から72%→58%、不支持率は20%→32%へと低下傾向にある。橋下氏支持の理由(2つまで)は「指導力がある」43%、「発信力がある」38%、「政策に期待できる」33%。一方、不支持の理由(2つまで)は「独裁的だ」52%、「発言に問題がある」45%だった。

 私はこの結果についてはそれほど驚かない。だが、これまで橋下維新を天まで持ち上げてきた読売新聞(この点に関しては朝日新聞も同罪、いやそれ以上)がこのような(的確な)世論調査をしたことに仰天したのである。周知のごとく、新聞の世論調査は質問ごとに予め用意した回答を選択させる方式で実施される。したがって適切な質問と回答が用意されなければ、有権者は答える術(すべ)がない。その点で、読売新聞が大阪都構想の反対理由に「橋下大阪市長が推進する構想だから」を挙げ、橋下市長の不支持理由に「独裁的だ」、「発言に問題がある」を設け、かつそこに多くの回答が集中したことは、橋下氏自身に対する批判がいかに高まりつつあるかを示すものだ。

 だが留意すべきは、この世論調査結果を見て橋下維新がおめおめと引き下がるわけがないということだ。むしろ選挙期間に突入した段階で新たな“奇襲攻撃”を掛ける可能性が高まったというべきであろう。選挙は最後の3日間、いや「最後の1日で決まる」と言われている。現在時点で私にはその内容まで予測することはできないが、その事態にどう備えればよいか程度は考えることができる。それは、これまでのような“受け身のスローガン”(堺を無くすな!)ではなく、“攻撃力のあるスローガン”を打ち出すことだ。

 逆説的なようだが、狂気のような橋下論法に対しては「目には目を」、「歯には歯を」以て対する他はない。もっと言えば、「毒は毒を以て制する」ほどの気概を持たなければ、選挙最終盤で橋下維新が意図的につくり出す狂乱状態には対処できないというべきだろう。私として、たとえば「大阪都構想堺市植民地化構想だ。堺を大阪の植民地にするな!」といったスローガンを考えている。多少ドギツイかもしれないが、橋下維新をたじろがせ、受け身に回らせることができれば選挙最終盤を乗り切れるかもしれない。(つづく)