民主党と維新の党が合流して新党「民進党」が3月27日結成された、なのに「民進党」が国民から期待されないのはなぜか、それは野党共闘で曖昧な態度をとり、安倍政権に本気で対決する気がないからだ、2016年参院選(衆参ダブル選)を迎えて(その17)

 民主、維新両党が合流する新党「民進党」の結党大会が3月27日に都内で開かれた。新党には両党のほか無所属など5人も加わり、国会議員156人(衆院96人、参院60人)を擁する最大野党となった。代表に選出された岡田氏は、民進党の結党は「政権交代可能な政治を作るためのラストチャンスだ」とあいさつし、夏の参院選は「代表として全て責任を負い、必ず結果を出す」と述べ、「安倍政権が衆参同日選をやるというなら受けて立つ」との決意を示した(各紙、2016年3月28日)。

 本来ならば、新党誕生のニュースは1面トップになって然るべきだ。なにしろ民進党は衆参国会議員156人の最大野党なのであり、トップニュースにならない方がおかしい。そうでなければかえって、「なぜこの程度の扱いなのか」といった疑問が湧く。しかしながら朝日・毎日両紙(大阪本社版)は、民進党結成に関する詳報が2面で掲載されているものの、2年間行方不明になっていた少女が保護されたニュースが1面トップを占め、新党結成記事は脇に追いやられた。日経新聞などは、民進党関連記事が下段に申し訳程度(5段記事)に出ているに過ぎない。

 それにしても、橋下氏が維新の党から抜けて「おおさか維新」を立ち上げた時などと比べて、この彼我の差の大きさはどうしたことだろう。各紙の大阪本社版では「橋下マター」は些細なことも含めてその一挙一動が報道され、否が応でも読者の関心を掻き立てる仕組みになっていた。結党して間もない「おおさか維新」が(政党として何の実績もないのに)政党支持率公明党と並ぶ位置につけたのは、一にも二にもこのようなマスメディアの大盤振る舞いによるものと言ってよい。マスメディア上の露出度が政党支持率につながり、それが国民の投票行動にも影響を与えるとなると、民進党に関する各紙の扱いは、今後の選挙情勢に少なからず否定的な影響を及ぼすものになるだろう。

 しかし、民進党に対するマスメディア各紙の(冷淡な)取り扱いには理由がないわけではない。それは民主と維新の合流に対する国民の関心の薄さを反映しているおり、国民が関心を示さない記事を幾ら書いても読者は満足しないからだ。なぜ、国民は最大野党となる民進党の結成にこれほど関心を示さないのか。それはこの間の世論調査結果(3月実施)が教えてくれる。時間を追って各社の世論調査結果を示そう。

読売新聞世論調査(3月4〜6日実施)
 ◇民主党と維新の党が合流して結成する新しい政党に、期待しますか、期待しませんか。「期待する」31%、「期待しない」60%

毎日新聞世論調査(3月5、6日実施)
 ◇民主党と維新の党は3月中に合流して新党をつくることで合意しました。あなたはこの新党に期待しますか。「期待する」26%、「期待しない」62%

朝日新聞世論調査(3月12、13日実施)
 ◇民主党と維新の党が合流することで合意しました。合流した後の新しい政党に期待しますか。期待しませんか。「期待する」31%、「期待しない」57%

産経新聞世論調査(3月19、20日実施)
 ◇民主党と維新の党が合流して結成する新党の名称が「民進党」に決まったことに対して、民進党に期待するか。「期待する」28%、「期待しない」69%

共同通信世論調査(3月26、27日実施)
 ◇あなたは民主党と維新の党の合流による新党「民進党」に期待しますか。「期待する」26%、「期待しない」68%

日経新聞世論調査(3月25〜27日実施)
 ◇民主党と維新の党が合流して「民進党」が発足します。あなたは民進党に期待しますか、期待しませんか。「期待する」26%、「期待しない」66%

 これらマスメディア6社の世論調査から総じて言えることは、第1に新党結成前も結成後も国民の間に「民進党」に対する期待がいっこうに高まらないこと、第2に「期待する」と「期待しない」との比率が2割台と6割台の大差がついていること、第3にその比率が極めて安定的で変動がないことの3点に要約される。つまり、民進党に対する国民の期待感が(予想以上に)低いことから、その結果として政党支持率の低迷を打破できず(読売8%、朝日7%、産経13%、共同8%、日経9%)、また夏の参院選で投票したいと考える政党としても比率がそれほど高くないので(読売15%、毎日14%、朝日15%、産経21%、共同11%、日経13%)、岡田代表がいくら「政権交代可能な政治を作るための新党結党だ」と強調してもマスメディアが同調しないのである。

 では、なぜ民進党に対する国民の期待がかくも低いのか。私はその最大の原因が参院選あるいは衆参同日選に対する野党共闘への民進党の「やる気」のなさにあると見ている。次回はその原因について詳しく検討しよう。(つづく)