希望・立民・民進3党間の違いはなにか、共通点はどこか、3党京都府連会長のインタビュー発言を分析する、立憲民主を軸とした新野党共闘は成立するか(12)、改憲派「3分の2」時代を迎えて(その99)

 前回は、希望・立民・民進3党の京都府連会長の発言(抜粋要約)を紹介した。言っていることをそのまま信じていいのか、疑った方がいいのか、あれこれ考えたが、公党の代表が新聞社の年頭インタビューで嘘を言ったら大変なことになる...と思い直してそのままを分析することにした。

【安倍政権の評価と対応について】
 泉氏(希望):安全保障関連法の国会審議には触れず、アベノミクスの不備をもっぱら強調。森友・加計疑惑の追及はスルーし、抵抗戦術一辺倒ではない国民生活重視の「本格論戦」を展開する姿勢。
 福山氏(立民):希望と同じく安全保障関連法審議には直接触れず、森友・加計疑惑に象徴される安倍政権の乱暴な国会運営を批判。アベノミクス批判を軸に国民生活関連の問題を追及する姿勢を強調。
 安井氏(民進):安全保障関連法審議、森友・加計疑惑、アベノミクスを批判するものの、国政への言及は少ない(記者のまとめ方が影響しているかも)。

自民党が主導する改憲論議へのスタンスは】
 泉氏(希望):憲法を時代に合わせて議論することは賛成。ただし「改憲=9条改正」ではなく、自衛隊は合憲なので9条への明記はおかしい。首相の解散権制約、教育無償化など優先順位をつけて改憲論議を進めるべき。
 福山氏(立民):自衛隊を9条に位置づける改正には反対。首相の解散家の制約、知る権利など人権確保の改憲論議を優先すべき。むしろ改憲国民投票の成立要件を議論することが重要。
 安井氏(民進):国内外の情勢変化に整合させるため憲法の在り方を議論する必要はあるが、最優先事項ではない。改憲論議を無理やり進めても国民を分断する可能性がある。

【安倍1強に対抗する戦略について】
 泉氏(希望):自民に代わる本格政党を目指し、共産と組まない中道政党を歩んだ民進党路線を継承。旧民進系仲間とは可能な限り大きなかたまりを作る。
 福山氏(立民):理念と政策に賛同する仲間を増やすため、来年の統一地方選参院選で多くの立候補を擁立。政権交代可能な政党を目指すが、永田町の数合わせには組みしない。
 安井氏(民進):安倍政権の1強を変えるため、野党で一のかたまりを形成する必要。そのため民進・希望・立民3党での協力関係の構築を優先し、社民・自由との共闘へ広げる。共産とは共闘せず、「非自民・非共産」で歩んできた立ち位置を堅持すべき。

【今年4月の京都府知事選、来年の統一地方選への対応について】
 泉氏(希望):民進との信頼関係を優先するため、民進地方議員には入党を呼び掛けない。知事選では知事与党会派の民進府議団の意向を尊重し、統一地方選では民進の現職や新人、無所属を軸に応援。
 福山氏(立民):京都では「非自民・非共産」を掲げて府民から支持を得てきた。民進党時代の仲間や連合京都との友好関係を優先し、いずれの選挙でも共産との共闘はない。地方議員の立民への参加を歓迎し、統一地方選では民進現職へ配慮しつつ候補を擁立。
 安井氏(民進):知事選には自民・公明との知事与党の枠組みで臨めるよう当面は府連を維持し、知事選後に民進府連を存続するかを判断。民進現職は希望・立民・無所属で立候補する人が多いので、民進から出る場合は連合京都との間をつなぐ。

 以上が3党府連会長の発言要旨であるが、共通点は次の通りである。
(1)安倍政権への政策対抗軸は、安全保障関連法は横に置いてアベノミクス批判を中心にして展開し、国民生活の改善や向上に関する政策課題を掲げて戦う。
(2)憲法改正論議は否定せず、優先課題を明確にして論議に応じる。
(3)京都では「非自民・非共産」の立ち位置を貫き、如何なる選挙においても共産とは共闘しない。

 また、相違点は次の通りである。
(1)民進の分裂に加担した泉氏(希望)が「民進路線の継承」を掲げて民進系との連携を模索しているのに対して、希望から排除された福山氏(立民)は「数合わせに組みしない」として希望との連携を拒否している。
(2)泉氏(希望)が民進との連携を前提として地方議員に希望への入党を呼び掛けないとしているのに対して、福山氏(立民)は党勢拡大のため地方議員の立民への参加を積極的に呼び掛けている。
(3)泉氏(希望)は民進との連携をもとに民進京都府連の再建を意図しているのに対して、福山氏(立民)は民進京都府連から独立して新たに立民京都府連を確立する方針を明確にしている。残された安井氏(民進)は、民進の将来に見切りをつけ(自らの身の振り方も含めて)、京都府連の事実上の解散処理に踏み切っているがこの先どうなるかはわからない。

 昨日1月14日のニュースで、民進と希望の間に統一会派結成について一定の合意が成立したと報じられた。詳しい内容は分からないが、この新たな情勢のもとで京都の希望・立民・民進3党が如何なる駆け引きを続けていくのか、引き続き注目しながら報告したい。(つづく)