大阪都構想は政治闘争ではなく行政課題だと維新市議が放言、大阪維新の過信はここまできた、大阪維新のこれから(9)、改憲派「3分の2」時代を迎えて(その161)

 

 2019年6月21日、大阪府と大阪市は大阪都構想の具体案を作成する法定協議会を再開した。これから約1年をかけて具体案をまとめ、来年秋には都構想の是非を問う住民投票を実施することになったらしい。公明が国政選挙で対立候補を立てるとの維新の恫喝に屈服して都構想賛成に変節したこともあり、維新は自信満々の様子で法定協議会を仕切ったという。

 

席上、ある維新市議は「都構想は政治闘争ではなく行政課題へとステージが進んだ」(朝日新聞6月22日)とまで断言する始末、住民投票なんてまるで眼中にないと言わんばかりだ。維公で事を決めれば全てに片が付く、自民は付いてくるしかない、住民投票も予定通り成立する――まさに、それが事務的な「行政課題」という言葉になったのだろう。

 

確かに、この間の自民の態度は混迷を極めた。政党としての体をなしていないと言っていい。大阪市議団や堺市議団が都構想反対で「1ミリもブレない」と頑張っているのに、府議団は様子見のダンマリ戦術で押し通し、国会議員団は渡嘉敷会長以下ほとんどが都構想賛成というのだから、まったく話にもならない。6月14日の自民大阪府連の会議では、渡嘉敷会長の「住民投票に賛成」との言葉は、都構想そのものに賛成と誤解されるとして、「住民投票で決着をつけるに賛成」と読み替えたというが(毎日新聞6月15日)、有権者をだますのもほどほどにしてほしい。こんなことでは、自民が都構想に賛成なのか反対なのか、どちらに行くかわからないではないか。

 

それに、堺市議団から出された渡嘉敷会長の辞任要求の取り扱いがどうなったのか、これもはっきりさせなければならない。渡嘉敷会長は「(自分の意見表明に対して)誤解があったが互いに歩み寄り、良い話し合いができた。みなさんが自民党の底力を見せてくれた」とわけのわからないコメントをしたらしいが(毎日、同上)、誤解も何もあったものではない。彼女は都構想に賛成することを条件にして大阪府連会長を引き受けたと公言しているのだから、その責任を最後まで取らなければならない。

 

だが、維新は世論を甘く見過ぎているのではないか。維新幹部は目下、首相官邸のバックアップを受けて国政選挙では北海道や東京など全国から候補者擁立を進める準備を進めているが、大阪や兵庫を除いて有権者がどう反応するかは皆目見当がつかない。京都選挙区でも維新が候補を立てると言っているが、前の国政選挙でポット出の維新女性候補が最下位で惨敗したことを忘れないでほしい(比例代表名簿第1位で復活当選はしたが)。

 

大阪の地域政党にすぎない維新が国政政党として進出しようとすれば、大阪万博とIRリゾートだけでは全国で相手にされないだろう。と言って、本格的な極右的政策を掲げれば自民保守派との見分けがつかなくなり、自民の陰に埋没してしまう可能性が大きい。それに、これまで維新が散々使ってきた「身を切る改革」の表看板も最近は日ごとに褪せてきて、もう誰も振り返らなくなった。国民が日々「身を削る思い」で暮らしている時に、これ以上身を削られてはたまらないからだ。

 

加えて、維新の時限爆弾ともいうべき「丸山穂高問題」がある。彼こそが維新の極右的体質を代表する人物であるからこそ、なぜ自分が松井代表らから一方的に切られるのか納得できないのであろう。維新にふさわしい意見を自分が代わって堂々と述べたことのいったい何処が悪いのか、だから俺は絶対に辞めないと心に固く誓っているのである。私はその意気が萎えないことを心密かに期待する。彼が頑張れば頑張るほど、維新の素顔がますます露呈し、化けの皮が剥がれてくるからだ。渡嘉敷自民大阪府連会長のように「誤解」だと言って自分の意見をごまかすような人物に比べれば、丸山穂高氏の言動ははるかに筋の通ったものではないか。

 

この参院選は当初の「安倍圧勝」の勢いは何処へやら、最近になって何だか雲行きが怪しくなってきた。1年間に銀座の高級寿司店やクラブで2千万円を超す交際費を湯水のごとく使う麻生氏にとっては、老後に2千万円程度の貯えがない方がおかしいと思うのは当然だろう。自分の年金も知らない、受け取ったこともないとうそぶくような人物が、爪の先に火をともして暮らしているような国民の年金を左右しているのである。これを聞いて怒らない方がどうかしている。私の周辺では「草の根保守」の高齢者たちが、今度は麻生にお灸をすえてやると息巻いている。

 

大阪都構想を阻止する局面はいよいよ市民運動に移った。もはや府議会でも大阪市議会でも、都構想反対派は見る影もない少数派に転落した。都構想の主戦場はいよいよ市民が担う住民投票に移行したのである。政党党派を超え、都構想反対の一点で結集する市民運動の台頭が望まれる。都構想反対のためには大阪市民も堺市民もない。大阪市での住民投票は堺市の運命に直結する。堺市長選で大きな成果を挙げた堺市民は、今後の展望を含めて大阪市民と心ゆくまで話し合ってほしい。(つづく)