「京都96条の会」結成への準備シンポジウムが8月6日に開催される、各地域での「96条の会」結成が当面の急務の課題だ(その4)、改憲勢力に如何に立ち向かうか(17)

 2013年参院選がどのような結果になるかについては、いまのところ私は新聞情報以外の判断材料を持ち合わせていない。ただ改憲勢力の主力である自民党議席を倍増させ、自公与党が過半数を制することはどんな選挙情報においてもほぼ確実視されている。となれば、選挙後には実質的な「改憲レース」が始まることは目に見えているといわなければならない。

 この動きに対して護憲勢力はどう立ち向かうのか。具体的な戦略・戦術の検討はこれからであろうが、京都では選挙後にはいろんな護憲関係の会合が連続して予定されている。私が関係するだけでも「龍谷大学9条の会講演会」(7月25日夜、龍谷大学小森陽一氏を招いて)、「京都9条の会世話人会」(7月27日午後、同志社大学新島会館、今後の方針をめぐって)、「京都ジャーナリスト9条の会シンポジウム」(7月30日夜、ウイングス京都、参院選の結果について)、そして「京都96条の会立ち上がりシンポジウム」(8月6日夜、ウイングス京都)などと目白押しだ。

 選挙後のわずか1〜2週間にこれだけの護憲関係の集会が相次いで予定されていることは参院選後の危機的状況を予測してのことであり、いよいよこれから改憲をめぐる本格的な政治決戦の火蓋が切られるということであろう。自民党のいう「黄金の3年間」が始まるのであり、この3年間にあらゆる手段を使って「改憲レース」が展開されるとみなければならない。

 改憲勢力の言う「黄金の3年間」を「鉛の3年間」に変えるためには、私たち護憲勢力に与えられた使命は限りなく重い。衆参両院で改憲勢力が多数を占めるという「ねじれ状態」のもとで改憲阻止の国民運動を進めようというのであるから、これまでになかった発想と方法を編み出さなければこの危機は乗り切れない。だが、私は絶望していない。この3年間に東日本大震災復興支援と改憲阻止のために余生を捧げようと思うのは、それはこの3年間が戦後日本の「55年体制」を国民一人ひとりのレベルから変革する歴史的契機になると確信しているからである。

 「55年体制」とは、1955年に成立した「改憲・保守・安保護持」を掲げる自由民主党と「護憲・革新・反安保」を掲げる日本社会党保革2大政党から成る政治体制のことを指している。55年体制自由民主党から日本社会党への政権交代が実現できず、また保守政党も国会で憲法改正のための3分の2以上の議席を確保できないという「政権交代憲法改正のない」自民党長期政権の時代だった。国民の政治関心が薄れ、政治は政党任せとなり、憲法が空白化したのもこの時代だった。

 だが、3分の1議席を維持することで改憲を阻止してきた日本社会党は無残にも歴史の舞台から姿を消し、その末裔に連なる社民党民主党護憲派ももはや風前の灯だ。辛うじて共産党が少数議席を確保して護憲政党の位置を維持しているにすぎないのが現状である以上、国民一人ひとりが立ち上がらなければ改憲を阻止することが不可能になったのである。

 この3年間に予想される改憲のための国民投票を阻止する(実施されたときには勝利する)ためには、政党活動はもとより護憲活動のための国民の政治参加の機会を飛躍的に広げなければならない。それが「九条の会」活動のさらなるバージョンアップであり、全国各地での「96条の会」の結成である。今回の8月6日の「京都96条の会立ち上がりシンポ」は、「96条の会」発起人の岡野八代氏(同大教授)と「京都ジャーナリスト9条の会」世話人隅井孝雄氏(京都ノートルダム女子大客員教授)が中心になって企画された(かく言う私も少しはお手伝いしている)。

 岡野氏の言によれば、「「立ち上げ」でなく「立ち上がり」なのは、本シンポジウムにて参加者との意見交換を経たのち、「京都96条の会」をどのような形にしていくのかを決めていく準備会だからです」とある。参加者との意見交換を重ねながら少しずつ具体的な形態や方針を決めていくという、誠に広範な国民運動にふさわしい運動方針の提起だ。この拙いブログを読まれた方々へは一人でも多くの方が参加されることを呼びかけたい。そして熱い討論を交わしてほしい。(つづく)