頭の上から尻尾の先まで腐りきった安倍政権はもはや退陣あるのみ、東京都民は都議選で自公与党に鉄槌を下してほしい、国民世論は「脱安倍」へと着実に向かい始めた(34)、改憲派「3分の2」時代を迎えて(その65)

 聞くに堪えない罵声だった。頭の中が一瞬真っ白になるほどの衝撃を覚えた。いまや昔の話だが、サラ金全盛時代の(関西の)取り立て屋でさえが真っ青になるほどの物凄い罵声なのだ。それが真昼間から茶の間のテレビニュースで流れてくるのだから、家中が驚いたというわけだ。昨日は1日中、秘書に対する豊田真由子衆院議員(自民、埼玉4区選出、当選2回、女性、42歳)の車中での罵声と怒号の録音が日本中に鳴り響いたのである。

 私にも親しい東京の友人が沢山いるが、彼女と同じ大学の出身者がどれだけ不愉快になり、どれほど恥ずかしい思いをしたかが容易に想像できる。母校愛が深ければ深いほど、自分と同じ大学の出身者はそれにふさわしい存在であってほしいと願うのはごく自然なことだ。私のような年齢になると同窓会が頻繁に開かれるようになり、お互いがどのような人生を送ってきたかを確かめることができる。そのときに共通するのは、少なくとも「お天道様に顔向けができないようなことはしなかった」というささやかな誇りなのである。

 それにしても、昨今の安倍政権の驕りと傍若無人の言動は目に余る(というよりは、限界を遥かに超えている)。国会でどれだけ嘘をついても平気、真実が明らかになっても絶対に嘘を認めない、昨日言ったことを舌の根の乾かないうちに覆す、自らの説明責任を相手の責任にすり替える、肝心の質問に答えないで関係のないことを長々と喋る...などなど、今国会の安倍政権の振る舞いは、日本の憲政史上空前の汚点を残したといっても過言ではない。議会民主主義の土台を、安倍首相はじめ政府首脳が率先して破壊しているのである。

 こんな有様を自民党若手議員が見習わないはずがない。何しろ首相自らが率先して「何でもあり」のお手本を示しているのだから、出世するには「それが一番」と思っても何ら不思議ではない。こうして政治家として最も必要な倫理感覚に疎く、モラルハラスメントに対して痛くもかゆくもない国会議員が続々生まれてくる腐敗土壌がいま与党全体に広がっている。その典型が「安倍チルドレン」といわれる自民党当選2回組だ。

既に発覚したものだけでも、武藤貴也氏(滋賀4区、2015年8月、未公開株購入絡みの金銭詐取で離党)、宮崎謙介氏(京都3区、16年2月、妻の出産休暇中に育休取得を表明しながら不倫発覚で議員辞職)、務台駿介氏(長野2区、16年9月、政府職員にオンブしてもらって被災地視察、長靴を履いてこなかったことが話題になり「長靴業界はもうかった」との発言で復興政務官辞任)、中川俊直氏(広島4区、17年4月、重婚容疑や不倫、ストーカー行為で経済産業政務官辞任、離党)、大西英男氏(東京16区、17年5月、 がん患者は「働かなくていい」と発言、謝罪)など、枚挙の暇もない。

今回の豊田氏の事件もその一直線上にある。聞くところによれば、豊田氏は「時限爆弾」と称され、このような暴行事件は何時起こってもおかしくない状況にあったという。換言すれば、安倍政権は頭の上から尻尾の先まで腐り切っていて、その腐臭はいまや自民党の体臭となって党内全体に行き渡り、いつガス爆発してもおかしくない臨界点に達しているのである。これから第2、第3の豊田氏が出てきても何らおかしくないし、その腐敗プロセスの進行は当分止みそうにもない。だが、自民党の腐敗が国家全体の腐敗につながることは絶対に避けなければならないし、国民の総意で断ち切らなければならない。安倍内閣の退陣を求めて総選挙を実施することは喫緊の課題であるし、その前哨戦である東京都議選は安倍退陣を占う試金石でもある。

今日6月23日は、その東京都議選の告示日だ。7月2日の投票日まで僅か9日間という短期決戦だが、与える政治的影響は計り知れないほど大きい。とりわけ今回の都議選は、過去の如何なる選挙にも増して国政と直結している。安倍政権が首相の犯罪とも言える「森友疑惑」「加計疑惑」にまみれ、国政私物化の実態隠しのため必死になっている最中に行われる選挙なのだ。「国会開会、閉会にかかわらず、その都度真摯に審議に応じる」と約束した首相の記者会見から、まだ数日も時間が経過していない時点での選挙なのである。

野党4党の憲法に基づく臨時国会開催要求も出された。自民党は「丁寧に説明する」「真摯に審議する」と言いながら、早くも審議拒否を表明している。こんな自民党の二枚舌を都議選では徹底的に追求して、自民党を壊滅に追い込んでほしい。また、狡猾にも都民ファーストと手を組み、都民の批判をかわそうという公明党に対しても鉄槌を下してほしい。議席を掠め取り、権力の座にしがみ付くためには、長年の与党であった自民党に掌を返すことを何らためらわない謀略政党の実態を見抜き、二度と立ち上がれないようなダメージを与えてほしい。(つづく)